三浦春馬さんの名演を振り返り。中学生から王子様まで、いま観られる作品は…
『キンキーブーツ』(2016年・2019年)キレのいいダンス、ダイナミックな歌声を披露
ブロードウェイの大ヒットミュージカルの日本版『キンキーブーツ』(日本版は残念ながらDVD・配信なし)の三浦さんは、奇抜な女装ばかり取り沙汰されることもありますが、注目すべきはこの役で読売演劇大賞の杉村春子賞を受賞したその圧倒的な技術と表現力です。 演じたのはドラァグクイーンのローラ。高いヒールを履きながら軽々とステップを踏むキレのいいダンス、声量のあるダイナミックな歌声はおそらく本場にも負けないはず。 女性らしいしなやかな身のこなしが板につき、いつもの三浦さんとはひと味違うローラの迫力に満ちた笑顔も忘れられません。すらりとした長身と鍛えられた肉体も相まって、板の上に立つ姿があまりにも魅力的。見る者を釘付けにする素晴らしさでした。こんなパフォーマンスができる若い俳優は今、三浦さんを除いて他にいないでしょう。
『銀魂2』や『コンフィデンスマンJP』では情けない役も
主役級を演じることの多い彼ですが、映画『銀魂2 掟は破るためにこそある』(2018年、DVDあり。Netflix、Amazonプライムビデオ、U-NEXTなどで配信中)や『コンフィデンスマンJP -ロマンス編-』(2019年、DVDあり。Amazonプライムビデオ、FOD、U-NEXTなどで配信中)などでは情けない姿、ダサい姿もハマっていて、20代という若さでさまざまなキャラクターをいずれも実に違和感なく演じていることも特筆すべき点です。どんな役柄もなじんでクセがなく、さらりとこなす演技力はもっと評価されてもよいと思っています。 出演作を振り返れば振り返るほど三浦さんの才能が改めてひしひしと感じられ、亡くなったことが惜しまれてなりません。一つ一つの役を誠実に演じる高い演技力といい、品格のある美しさといい、日本を代表する唯一無二の俳優であることは間違いなく、これからもずっと私たちの記憶に残り続けるでしょう。 <文/林らいみ 写真/望月ふみ> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
林らいみ
フリーライター。大学院で日本近世史を研究した硬派の歴女。舞台・映画・ドラマが好物。観たい舞台があれば万難を排して劇場に馳せ参じ、好き勝手言っている。たま~に歴史系記事を書く。