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柴咲コウ『35歳の少女』がアクセル全開。“地獄のすき焼き会”にゾクッ

坂口健太郎の登場で、ますます地獄絵図に

 結人は、小学生の頃の望美の作文について語ります。  その内容は、「21世紀は、みんなが笑顔になって、戦争や差別もなくなって、みんなが仲良くなってるって信じてる」というもの。  この望美の溌剌(はつらつ)とした明るさが、むしろちょっと恐ろしく、白々しく感じられるのは、望美のその後を知ってしまっているからでしょうか。それとも、「21世紀」の現実を知ってしまっているからでしょうか。あるいは、遊川先生からのストレートすぎる社会批判のメッセージに対してでしょうか。
『モモ』

『モモ―時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にかえしてくれた女の子のふしぎな物語』
ミヒャエル・エンデ著, 大島 かおり訳(岩波少年少女の本 37)

 さらに「教師」と語っていた結人は、すでに教師を辞めていると明かし、急にブチ切れるという地獄絵図を見せてくれます。 「今はお前が夢見てたような未来じゃねえんだよ! 温暖化やら差別やら原発やら、いっぱい問題があるのに」「お前もさぁ、ずっと寝たまんまのほうが良かったんじゃないの?

柴咲コウが、悪夢の世界に突然産み落とされた赤子のよう

 そこで望美は、10歳というよりも、まるで幼児のように泣きじゃくります。ちなみに、「心の声」は10歳のときの望美(鎌田英怜奈)ですが、言動を見る限り「リアル10歳だったときの望美」と「25年間の眠りから覚めた望美」とは全くつながっていません。「10歳の心」というより、よくわからない悪夢のような世界に突然産み落とされた0歳児のようでもあります。
「ああ、帰りたい……」という心の声とともに、「じゃ、そろそろおいとまを……」と言い出したくなる地獄感。視聴者側は、まるでどこかの家族の食事に招かれ、目の前で突然、修羅場が始まったときのような気持ちでしょう。
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初回からふるい落とされそうなストロングスタイル
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