どうなる?2021年のキスシーン。佐藤健が火をつけた“キス祭り”
嵐が活動休止してしまった2020年。寂しいけれど、これからはひとりひとりの活動を楽しみにしたい。
個々の表現として例えば、松本潤のパフォーマンスのすばらしさと演出家としての目の確かさを思うとき、映画『花より男子ファイナル』(08年)のラスト、結婚式のキスシーンを思い出さずにはいられない。
TVシリーズから続いてきた道明寺司(松本)と牧野つくし(井上真央)の恋がついに結婚という形で成就するその最高の幸福の表現を松本は、これぞラブストーリーにおける男性俳優の面目躍如とばかりの渾身(こんしん)の身体表現で見せた。
あの場面があったからこそ、映画は興行収入77億円を超える爆発的なヒットになったといっても過言ではない。TBSチャンネル1で1月12日に放送されるので、名キスシーンを確認できる方はぜひ。
キスシーンにアグレッシブなのは、松本だけではない。木村拓哉もそうだった。ラブストーリーのレジェンド『ロングバケーション』(96年 フジテレビ系)の最終回、紆余曲折しながらお互いの気持ちを確かめあった瀬名(木村)と南(山口智子)のじゃれ合うようなキスは台本にはなく、木村の発案だったとか。
キスとはアクションなのである(相手との間合いも含め、静かな殺陣と言ってもいいのではないか)ということを、「花男ファイナル」から12年経った2020年、引き継ぐ人物が現れた。
佐藤健である。
いつの頃からか「恋愛ドラマは流行らない」と言われるようになって久しい。刑事ドラマ、医療ドラマだらけになったドラマ界に綺羅(きら)星のように現れた『恋はつづくよどこまでも』(TBS 系 以下「恋つづ」)。ヒロイン七瀬(上白石萌音)と憧れの医師・天堂先生(佐藤健)との恋は放送されるやいなや話題沸騰。視聴率が回を増すごとにぐんぐん上昇した。そのきっかけは、キス。
4話、夜の歩道橋を歩く七瀬に天堂が「これは治療だ」と言って、素早くキス。
Official髭男dism(主題歌を担当)の高音が高まったところで、天堂はまるで野生のけものが小動物をとらえるような俊敏さで、かつ、まったくがっついたところのない余裕綽々の構えで、七瀬の上唇に――。
その瞬間は引きで見せ、アップになるのは離れてからのふたりの表情。七瀬のうっとり具合で、決定的瞬間の想像力をふくらませるという、俳優の表現と撮影と編集がみごとに絡み合った名場面が誕生した。
キスとはアクションなのである
『恋はつづくよどこまでも』の最初のキス

(画像:恋はつづくよどこまでも公式HPより)