Gourmet

湯豆腐のシンプルな旨さに癒やされる。こだわりの2選

豆腐の製法「お湯取り式」とは?

湯豆腐

なか川東風庵の「京風湯豆富」

 続いて訪れたのは、千葉県市川市八幡にある「なか川東風庵」。日本料理の板前として修業を積んだ店主の中川省一さんが作る「京風湯豆富」が評判の店だ。    実は中川さん、昭和10年創業の老舗豆腐店の3代目。当然、店で出す豆腐は手作りで、しかもその製法は「お湯取り式」と呼ばれる手の込んだものだという。 「現在は濃い豆乳に濃いにがりを入れて作るのが一般的ですが、お湯取り式で使うのは薄い豆乳。ある段階で豆乳が湯と豆腐に分離するので、その湯をザルで掬って除いていく製法です。手間がかかるし技術も必要だが、水切れも良く、さっぱりとした旨い豆腐に仕上がります」

豆腐のおいしさが際立つシンプルな材料と調理法

 材料には、高級大豆フクユタカを100%使用。佐賀県のJAと連携し、豆の水分管理にも余念がない。また、同店では地下100mの井戸を完備し、水にもこだわる徹底ぶり。湯豆腐を京風にしたのも、「うちの豆腐に一番マッチする食べ方だから」と話すなど、端々に老舗豆腐店としての矜持がうかがい知れる。
湯豆腐

佐賀県産の高級大豆フクユタカと井戸水で作った自慢の豆腐は、テイクアウトでも購入可能

 その自慢の湯豆腐を、カツオだしの効いた醤油ダレとおぼろ昆布を薬味に頬張る。甘みが強く、混じりけのない透明感のある味が口いっぱいに広がる。長ネギとおかか、柚子胡椒などの他の薬味との相性も抜群で箸が止まらない。 「湯葉刺しも人気だが、湯豆腐の湯にさっとくぐらせてしゃぶしゃぶにして食べるのもオススメです。あと、大量には作れないのですが、私が甘湯葉と呼んでいる柔らかい湯葉があるんです。これが、トロトロしていて不思議と甘い。これはワサビ醤油をつけて刺し身で食べてほしい一品」  知れば知るほどに奥深さを感じる湯豆腐の世界には、和食の神髄とも言うべき“シンプル・イズ・ベスト”の極致があった。
湯豆腐

生湯葉は刺しでも絶品だが、湯豆腐の煮汁にさっとくぐらせて食すのが店主、中川さんのオススメ

▼なか川東風庵の「京風湯豆富」 昆布と塩を入れただけの井戸水で味わう、豆腐本来の旨味を堪能できる逸品。カツオだしの効いた醤油ベースのタレ、柚子胡椒、おぼろ昆布、長ネギ、おかかの薬味4種との相性も◎。681円(税抜き)
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豆腐屋さんが井戸水を使う意外なメリット
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営業時間:17:00~24:00(L.O.フード22:30、ドリンク23:00) 日曜祝日定休
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●なか川東風庵
千葉県市川市八幡3-7-18イーストウインド本八幡1F
営業時間:11:30~14:30(最終入店13:45)、17:30~23:00 月木定休
ディナータイムは3800円からのコース料理あり

※新型コロナウイルスの影響により、営業時間や定休日が変更になっている可能性があります。最新情報は店舗にお問い合わせください。
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