妻が不倫の尻ぬぐいまで。結婚後、夫を子供返りさせてしまった後悔
夫婦の形は、子どもの有無をはじめ環境の変化によって、どんどん変わっていく。最初は恋人同士の感覚が強くても、いつまでも同じ気持ちでいることはむずかしい。
それぞれがお互いとの関係をどうしていきたいのか、そこに差異が生じる時期もあるだろう。
夫と自分の関係が、「できの悪い長男」と「教育する母」のようになってしまったと後悔する女性の話を聞いた。

「結婚するとき、子どもができてもお互いのことはママパパとは呼ばない、夫婦は男女、ずっと恋人同士の感覚を忘れないようにしようと話し合ったんですよ」
そう言うのはアヤコさん(39歳)だ。29歳のとき、3年つきあった2歳年上の男性と結婚、30歳で長女を、33歳で長男を出産し、共働きで生活してきた。
「とはいえ、やはり夫はあまり役には立たなかった(笑)。言えばやってくれるけどというレベルでした。だけど根気よく言って家事育児に慣れてもらうしかなかったので、一時期、私は夫の教育係と割り切っていたんですよね」
子どもたちを寝かしつけては一緒に寝てしまう、離乳食はほぼ缶詰めという夫の育児を見ても、アヤコさんは文句を言わなかった。文句を言って夫のやる気を削いではいけないと思っていたからだ。
「あのへんですでに夫婦関係は親子関係に変わりつつあったんだと思う。でもこれは子どもが小さいから、もう少し大きくなったら関係性はまた変えることができると信じていました」
ところが夫のほうは、「ママに見守られる長男」の役割が意外と気に入ったようだった。たまの休日、「今日はママが料理作るよ」と張り切って言うと、子どもたちより夫のほうが「わーい。ママが作ってくれるんだ」と喜ぶようになっていた。
「私も心が揺れましたが、夫婦関係を立て直すより、やはり子どもたちとの安定した生活をするほうが優先順位が高かったんですよね。だから夫の子ども返りを見て見ぬふりをするしかなかった」
それでも5回目の結婚記念日に、「これからは男女の感覚を取り戻したいなあ」とつぶやいたことがある。夫は「そうだね」とは言ったものの、すぐに「ねえ、ママ」と話しかけてきた。アヤコさんは頭を抱えた。

現在、長女は9歳、長男は6歳となった。夫は41歳、不惑を超えた。
「いちばん惑(まど)っているのは夫かもしれません」
2年ほど前、夫の不倫が発覚した。本人は「たった1回の過ち。魔が差した」と言い訳をしたが、それについてはアヤコさんは信じていない。
「目の前で彼女に電話をかけて別れてと言ったんです。そうしたら『同じ会社だから、そうやって斬り捨てると、あとあと怖い』と言う。
きっぱり別れられないなら、私は子どもたちを連れて出ていくというと、渋々電話をかけた。でも相手に泣かれたみたいでうろたえて電話を切っちゃったんですよね」
頭にきたアヤコさんは、夫の電話を取り上げてリダイヤル。
「私、〇〇の妻ですけど、家庭不和になると困るので別れてやってください。子どもたちにも教育上、よろしくないので。わかってもらえました?」
大きな声で脅すかのようにそう言ったという。彼女は泣いていたそうだ。
「泣こうがわめこうが、いけないことをしているのは夫と彼女。もちろん、夫にも次にあったら離婚だからねと念を押しました」

写真はイメージです(以下同じ)
ずっと恋人感覚でいたかったのに

不倫の尻ぬぐいまでさせられて
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