夫が月経を理解していなかったために起きた、ある夫婦喧嘩のエピソードを、村瀬先生が教えてくれました。以下はその夫のコメントです。

『3万人の大学生が学んだ 恋愛で一番大切な“性”のはなし』(KADOKAWA)
「夫婦共働きで自分が仕事で疲れて帰ってきたら、シンクは洗い物の山。妻はもう帰ってきているのに、ほかの家事もすべて手つかずでした。『どうして片づけてないんだ』と声を荒らげたら、妻が初めて本気で怒ったんです。『私が月経中で、どんなに辛い思いをしているのかわかっているの!』と。自分はなにも言い返せず、妻の話をただ聞くしかありませんでした……」
こんな切ないケンカをひき起こさないためには、女性も月経について学び、知り得た知識を相手と共有する必要があるそうです。※以下、村瀬先生の著書『
3万人の大学生が学んだ 恋愛で一番大切な“性”のはなし』(KADOKAWA刊)より抜粋。
知識① 月経痛の原因物質は、お産の痛みをひき起こすものと同じ

<月経時に排出される経血の量はおよそ20~150mlで、5~7日かけて体の外へ出されていきます。ところが、経血の通り道となる子宮頸管は普段はギュッと閉じている細い管ですから、スムーズには出て行きづらいのです。そこで、子宮筋層から分泌されるプロスタグランジンという物質が子宮の筋肉を収縮させて排出を促します。これに伴う痛みが、月経痛(機能性月経困難症)の基本です。
このプロスタグランジンという物質、実は出産のときに分泌されて子宮収縮を促す、いわゆる陣痛をひき起こすものなので、
月経の痛みはお産の痛みと同じということになります。月経はお産のトレーニング、小さな出産ともいえるのです>

<高温期は妊娠を継続させる時期(実際に妊娠が成り立つとこのホルモンは分泌され続け、高温期が続く)ですから、栄養分や水分をため込まなければなりません。このため
食欲が増し穀類や甘いものが食べたくなったり、水分が体にたまるため少しむくんだり、なんとなく体が重くなって頭痛が起きるなどの現象があらわれやすくなります。
この高温期が続いている間は次の排卵は起こりませんから妊娠しない、不妊期になるのですが、これは女性の体からすれば妊娠している状態ともいえるわけです。ですからこの時期は、
セックスへの関心や欲求は減退というか、そういう欲求がわき起こりにくい時期ともいえるのです。
そして月経が始まって低温期になり、やがて月経が終わって妊娠しやすい状態の頃に、一般的にいえば
性的欲求も高まりやすくなる。つまり、生きものとしての人間の性行動は、月経のメカニズムからすると『生殖』行動なのです。もちろん生活、心理、感情などの複雑な絡まりの中で欲求は形づくられるので、そんな単純な問題ではありませんが>