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子どもができバンドを辞め就職した夫。そんな彼に離婚を切り出した妻の胸中

 結婚が成功だったか失敗だったかは、いつになってもわからないのかもしれない。  自分が我慢し、相手とコミュニケーションをとり続けてみたら、もしかしたら相手が変わってくれるのではないか。そんな淡い期待を持って努力を続けたところで、結局、相手は変わらず、死ぬまでつらい思いをする可能性もある。  ただ、我慢の限界値は人によって違う。「我慢が足りないと思われるのではないか」と不安になる必要はない。もうやっていけないと思ったから離婚してよかったという女性に話を聞いた。
離婚

写真はイメージです(以下同)

私は我慢ができなかった

「相手をよく知っているつもりでも、結婚となるとまた別の問題が出てきますね」  少し苦い表情でそう言うのは、ノリコさん(39歳)だ。29歳のころから同棲していた2歳年下の彼と結婚したのは35歳のとき。妊娠がきっかけだった。 「つきあい2年、同棲6年。そんなに長く一緒にいたのに、結婚して3年弱で離婚したんです。同棲しているころがいちばん楽しかったなと思いますね」  ノリコさんが彼と知り合ったのは、平日昼間の喫茶店だった。仕事で外回りをしていたノリコさんは、遅いランチをとりながらビートルズ関係の本を読んでいた。そのころビートルズにはまっていたのだという。 「そこに声をかけてきたのが彼です。『すみません。どうしても気になって。ビートルズが好きなんですか』って。  顔を上げたら、感じの悪い人ではなかったので、思わず『ええ。最近、はまってるんです』と答えました。彼は自分も大好きなんだと言って、もしよかったら連絡くださいと名刺をくれたんです」 ウォーキングの前にカフェインを とはいえ、すぐに連絡はしなかった。だが数日後、名刺の整理をしているときに思いだし、会社からメールをしてみた。 「するとビートルズについて話しませんかって。携帯に会社から電話をしてみたら、すごくうれしそうな声だったので会う約束をしました」

ビートルズの話だけでひと晩明かした

 最初の連絡はすべて会社から。怪しい人だと困ると思ったからだ。その日の仕事帰りに、彼がノリコさんの職場近くまで来てくれた。そして居酒屋でビートルズ談義。気づいたら終電がなくなっていた。 「びっくりしました。時間を忘れるほど楽しく話し込んだのは初めてだった。そのまま彼のひとり暮らしの部屋に行ってみたら、部屋中、古いレコードでいっぱい。彼はレコード店とバーでかけ持ちアルバイトしながら自分でもバンドをやっている人だったんです。レコードを聴かせてもらって感激しましたね」  翌日は土曜日だったので、ノリコさんは仕事が休み。彼は昼から仕事だというので、一緒に外にでて近くのカフェで朝食をとった。 「結局、男女関係はまったくなかったんです。とにかくビートルズの話だけでひと晩明かしてしまった。あとから彼と、あの日はすごかったよねと笑い話になるくらいでした」 レコード、音楽雑誌 そのままつきあいが始まり、1年後、彼女の部屋が更新時期となったとき彼のところで一緒に住むようになった。 「古い建物で1LDK。狭かったけど同棲生活は楽しかった。ふだんはすれ違い生活でなかなか一緒にいられませんでしたが、ふたりとも休みの日は音楽を聴きながらイチャイチャして」  彼と話し合い、ずっと飲んでいたピルをやめてすぐ、彼女は妊娠。それを機に結婚した。
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何も変わらないと思っていたのに
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