とはいえ、準備を進めようにもまずは親との関係が整っていなければ何も始められない。
「介護をする上で、親がなにを大切にしているか、どう生きたいのかを家族が知ることが前提です。それを把握すれば『同居するか否か』『老人ホームに入れるか否か』など、認知症になった後の判断にもブレがなくなります」(佐々木氏)
本誌の調べでも「準備をしておけばよかったと思うこと」では、「両親の人生プランをもっと聞いておけばよかった」という回答が最多だった。まずは「親が老後をどう過ごしたいか」をきちんと知った上で親のカネや実家の処遇、さらには死後のことを話し合っていかなくてはいけないのだ。

対象/親の介護をする40、50代男女200人(調査期間は3月25〜30日)
Q1:「介護が必要かも?」と思ったきっかけは?(複数回答可)
家事ができない、買い物に行けないなど、できないことが増えた:112人
家から出ることが極端に減ってしまった:80人
薬の管理ができなくなった(必要なものを飲まない、捨ててしまうなど):71人
日常生活でケガや小さな事故が増えた:64人
自分を頼るような電話が増えた(悩みや愚痴なども含めて):62人
体臭や臭いがきつくなった(トイレを失敗したり、入浴していなかったり):37人
実家に帰ったら家が荒れていた(洗濯物や洗い物がたまっていた):34人
久しぶりに会った親が痩せていた(入浴や食事などかなり偏ってしまった):31人
近所からクレームが入った(ゴミ捨てができない、庭が荒れているなど):14人
警察から連絡があった(徘徊やご近所トラブル、万引や迷惑行為など):9人
Q2:「準備しておけばよかった」と思うことは?(複数回答可)
両親の人生プランについてもっと聞いておけばよかった:76人
いつ誰に、どのように頼ればいいのか知識を蓄えておきたかった:73人
聞きにくい老親の金銭面のこともしっかり聞いておけばよかった:68人
介護に関する相談窓口や、利用できるサービスをもっと知っておくべきだった:54人
きょうだいや妻とも親の介護について話し合っておくべきだった:48人
介助用品レンタルや、家のリフォームなどを事前に検討しておけばよかった:42人
会社に一人でも介護について話せる人をつくっておくべきだった:22人
もっと近所付き合いを密にしておけばよかった:15人
遠方の親でもこまめに連絡をとる習慣を作っておけばよかった:13人
その他:6人
【となりのかいご代表 川内 潤氏】

川内 潤氏
老人ホーム紹介事業や在宅・施設介護職員を経て、’08年にとなりのかいご設立。著書に『もし明日、親が倒れても仕事を辞めずにすむ方法』
【リクシス代表 佐々木裕子氏】

佐々木裕子氏
東京大学法学部卒。日本銀行、マッキンゼーアンドカンパニーを経て独立、起業。’16年リクシス創業。自身も離れて暮らす80代の両親の介護に取り組んでいる
― 親が死ぬ前にやることリスト30―
<取材・文/週刊SPA!編集部>