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親の介護や死。つい先送りにしがちだけど、何から準備するべきか

 今春、話題を集めたドラマ『俺の家の話』では、長瀬智也演じる中年レスラーが父親の介護と向き合う姿が何度も映し出された。ドラマほど劇的ではないにせよ、老いた親と向き合うのは、「あなたの家の話」かもしれない。まだ元気な親でも、介護やさらに死後に向けての準備は必要だ。いつかは来る「親の死」にどう備えるべきか。そのノウハウを探った。

コロナ禍で介護相談が増加中

親が死ぬ前

※画像はイメージです

 漠然とした不安を抱きながらも、つい先送りにしたいと考えてしまう親の老いや死。しかし’25年には、団塊の世代が75歳以上の「後期高齢者」になり、その子どもである40、50代が介護問題に直面することは必至だ。 「親が70歳を越えたら、子どもは介護や相続など、終活に向けた心構えを始めるべきです」  そう話すのはNPO法人となりのかいご代表の川内潤氏だ。 「ウチでは企業から依頼を受けて介護相談や介護セミナーを行っていますが、昨今のコロナ禍で相談件数やセミナー参加者が増えています。外出自粛によって高齢者の体力が衰えてしまったことや、親と同居の人がテレワークになると、親の老いが目につくようになり『自分が支えなければ』と介護を抱え込んでしまっているからです」

介護は“準備の早さ”で決まる!

 では、どのような兆候で親の介護の必要性を感じ始めるのか。週刊SPA!編集部が現在介護をしている40、50代の男女200人に行った調査によれば、「家事や買い物ができなくなった」「家から出ることが極端に減った」という声が多かった。 「介護が必要となる予兆を感じたら、対処法を自己判断せずに、まずは“プロ”に相談することです」  そう話すのは、仕事と介護の両立支援を行うリクシス代表の佐々木裕子氏だ。ここで言うプロとは、それぞれの自治体にある「地域包括支援センター」のことを指す。 「地域包括支援センターは高齢者が自立して生活するための医療や保険、福祉などトータルケアを提供する場所です。これは、なにも要介護状態になった人に特化したものではありません。早めに介護予防の対策を相談することで、親の健康寿命を延ばし、子どもが過度にケアする必要性も減らせます」  介護は出足が命―初速の差は、金銭面でも如実に表れる。前出の川内氏によれば、「早めに備えておくことで要介護状態になった後の負担額が大きく変わる」という。 「最初は見守りから始まり、やがてヘルパー、ショートステイと段階を踏む上で、先に相談しておけば公的支援を使いながら適切な対応を受けられます。これなら月10万円ほどで親の年金収入の範囲内にも収まりやすい。逆に認知症などが悪化し、慌てて有料老人ホームに入れた場合、入居一時金で500万円、その後も月々20万円以上かかる。差は歴然です」
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現在介護をしている男女200人にアンケート
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