東京オリパラでバリアフリー化が進んだことは救いだった
ただ、ひとつだけ救いがあるとしたら、東京パラリンピックの開催のため、都内近郊で急激にバリアフリー化が進んだことです。エレベーターもエスカレーターもなかったJR御茶ノ水駅は、大規模な改修工事を経て生まれ変わりました。
佐藤「JR新宿駅も、以前はエレベーターが1基しかなく、どこへ向かうにも南口を利用しなければいけませんでしたが、2基になりました。車いすユーザーが乗降に介助が必要なのは、ホームと電車の間が広く空いていたり、段差があるためです。駅ホームにスロープをつけておいて、段差3センチ、隙間7センチくらいになれば、90%くらいの車いすユーザーは一人で乗り降りできるんです。今、JR山手線ではその対応が進んでいます」
都営大江戸線はすでにスロープが全駅についていて、車いすユーザーには以前からとても評判です。一人で昇降できれば、介助もアナウンスも必要ありません。
多くの人が安心して好きな場所へ行けるようになるには、設備のハード面、サポート側の配慮、そして差別をなくす姿勢と、迷惑行為を許さない周囲の正義感が必要そうです。
<取材・文/和久井香菜子>