彼女は「結婚したい、彼氏が欲しい」という実現したいことよりも、避けたいことばかりに注目しているのでした。結婚も、したいというよりも「一生独身は嫌だから」ということでした。
職場にバレないような結婚相談所についても「
そこまでお金をかけたら、身構えて気軽に会えなくなってしまいそう」と言います。でも、きっとこれだけ妄想で不安になるので、気軽にやってみることが苦手なのは自覚もあるのでしょう。

いろいろ説得し、マッチングアプリで婚活スタートをすることになりました。
美幸さんは登録前にも「私ってもう手遅れですか?」「婚活しても大丈夫なんでしょうか?」とさんざん確認をしていました。33歳といえば、油断できるほど若くはないけれど、まだ同年代の男性ともまだ会いやすい年齢です。とはいえ、失敗が怖くて進まなければあっという間に年齢は高くなり、33歳という若さだって失うでしょう。
マッチングアプリは写真が重要になってきますので、失敗しないためにも写真はちゃんと撮影しましょうとお伝えしました。
「前に沖縄へ旅行に行った時の写真があるんですけど、これでいいですか?」
友達と並ぶスナップ写真で、二人ともマスクはしていません。
「これってコロナ前でしょう。
旅行の写真って2年以上前って思われますよ」
「ん?」
「
若い時の写真を使っていると誤解されるってことです。『会ったら別人なのかな』って相手が感じるかもしれませんよ。そういう写真を使っちゃうと失敗しやすいんです」

「それは困りますね」
「せっかくやるんですから、マッチングアプリのために写真を撮りましょうよ。そういう撮影サービスも今はいろいろあるんです」
私はマッチングアプリの写真見本を見せながら説明しました。
【参考記事】⇒
マッチングアプリの女性「ダメ写真」図鑑。いいねが増えても“結婚が遠のく”一枚とは?
「そっか、こうやってカフェとかで撮影するんですね。友達と旅行に行ったときとかならいいですけど、
芸能人でもないのにこんな風にカメラマンに写真撮ってもらって周りの人から変に思われませんか?」
「美幸さんがもしカフェで撮影している人を見かけたとして、次の日それ覚えてる?」
「他人のことだし、すぐ忘れて覚えてないですね」
「そうだよ。そんなもの」
「
私、自意識過剰なんですね」
美幸さんは自分で自分に突っ込みを入れていました。
こうして何とか撮影してもらえるカメラマンを近くで探して、登録準備が少し進んだのです。