ふと、テレビボードの上に置いてあったポーチから通帳が顔を出していました。その通帳は結婚式のために貯金している二人の共同の通帳です。楽天EAGLESのキャラクターがあしらわれている仙台の七十七銀行で作ったもの。 「どれだけ貯まったのか見てみたくなったんです。私と彼の愛の証でもありますから」 　芽衣さんがにやけながら通帳を開くとそこには「コンドウミキ　50,000円」と見慣れない印字がされていました。 「毎月の月末に5万円をコンドウミキという人の口座に振り込んでいる形跡があったのです。コンドウミキなんて人、私は知りませんし、呆然として立ち尽くしてしまいました」 　穏やかな昼下がり、午後の陽光が差し込む穏やかな休日だったはずなのに、血の気が引いて指先が冷たくなっていく芽衣さん。気配を感じた芽衣さんが振り向くと、彼がじっと彼女のことを見つめていました。 　それから彼はもう隠し通すことはできないと諦めたのか、事情を話し始めます。彼は、芽衣さんには告げていませんでしたが、バツイチでさらに子どもがいました。そこに記載されているのは、毎月の養育費の支払いだったのです。