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プロゲーマーの“差別発言”はなぜ起きる?業界の問題をきく

仲間内のプレイを配信するリスク

確かに、今回SaRa選手は即日Twitterで謝罪しており、会社の対応も早かった。“失言”以外の失策は見当たらない。ではなぜ失言は起きたのか。
ゲーマー

トーナメントでプレイするゲーマーたち(本文とは直接関係ありません © Darkworx)

「一般のスポーツだと、練習と公式の試合でまったく意識が違うと思います。でもeスポーツは、そこの境目が難しい。普段とまったく同じ環境で、趣味のプレイなのか大会なのかという違いになるんです。使い分けがいっそう難しいかもしれません。 また誰でも、身内で遊んでいるときには、多少乱暴な言葉遣いをすることもあるでしょう。僕も、ひとりでプレイしているときは、人に聞かせられない暴言を吐くことがあります。でもeスポーツは、そうした白熱したプレイを配信するところに難しさがあります」(山田氏) 「野球やサッカーといったスポーツ選手でも、プレイ中に言葉が荒々しくなることはあるのではないかと思います。でもそれは配信されないから問題になりにくい。プレイ中の言葉をすべて拾って公開されるeスポーツのプレイヤーは、ひときわ自制心とマナーが求められるんです」(竹谷氏) eスポーツ選手が活躍する年代は15歳〜25歳くらいという。他のスポーツと比べてもピークは早く短い。そうした若者に真剣勝負の最中にまで徹底したリテラシーが求められることになる。

社会やネットにあふれる“差別”を映す鏡

でも、たとえ配信中でなく仲間内でも、「障害者やろ」のような暴言が使われているのは問題ではないのだろうか? 「ゲーム用語としてのスラングは数多くありますから、意味を考えずに使っていた可能性はあります。もちろん、だからといって差別が許されるということではありません。eスポーツ選手に限らず、差別をする人はいます。でも僕自身も、子どもの頃に差別についてしっかりと習った経験はないんです。僕は社会的にもっと差別教育が必要だなと考えているんです」(山田) つまり、「eスポーツ選手だから」暴言を吐いたわけではなく、社会にあふれる差別的な視線を映す鏡として、今回の件が起きてしまったとも言える。 筆者はブラインドライターズという、何らかの障害があるスタッフで構成された会社を経営している。会社の説明をしたとき「健常者に会社を管理させた方がいい」「障害者は結婚できるのか」といった無邪気な差別発言を受けることは珍しくない。差別発言が問題なのは、そこに潜む差別意識があるからだろう。発言だけを抑止したところで、差別があるなら問題解決にはならない。言葉狩りをすることよりも、むしろ無意識の優生思想のほうが問題だと感じている。
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eスポーツには功も罪もある
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