「双子ベビーカー乗車拒否だけじゃない」双子育児の“過酷さ”が想像以上だった
前々回・前回記事でお伝えした都バスの「双子ベビーカー乗車拒否」問題。NPO法人フローレンスと秋澤春梨さんらの長い闘いの末に、都営バスは「全路線で、二人乗りベビーカーを折りたたまず乗車できる」というルール変更をおこなった。
しかしこの問題だけでなく、多胎(双子や三つ子など)育児にまつわる無理解は社会の様々な分野で浮き彫りになっていると秋澤さんは警鐘を鳴らす。現在は海外に居住しているからこそ見えてきた日本の問題点もあるそうだ。
【前々回記事】⇒双子ベビーカーでまさかの乗車拒否。ガラ空きのバスで…運転手の“ひと言”にもア然
【前回記事】⇒「双子ベビーカーもバスに乗せて」小池都知事に伝えた双子ママ。炎上の先に得たものは
──現在、秋澤さんはシンガポールにお住まいということですが、育児面において日本と海外の違いはどんなところで感じますか?
秋澤春梨さん(以下、秋澤):たとえば台湾の交通機関では「プライオリティレーン」というものがありまして、車椅子、妊婦、赤ちゃんを抱っこしている女性は並ばずに先頭に立つことができるんですね。
シンガポールにはプライオリティレーンはありませんが、なくても皆さんが譲ってくださるので困ったことはありません。
もちろん言うまでもなく、電車内の座席はすぐに譲ってくれます。というか、優先席を譲らないと注意されることもあります。電車内に監視カメラがついていているなど、ある意味、シンガポールは非常に厳格な国ですから。
秋澤春梨さん(以下、秋澤):あと日本と違うのは、就労の有無にかかわらず保育園に入れられることですね。
──そこは大きいかもしれません。日本だと保育園に入れられないから母親が働けない。働けないから保育園に入れられないという無限ループに陥りますから。
秋澤:とはいえ、シンガポールも高額ではあるんですけどね(笑)。それからベビーシッター制度も充実していて、住み込みのベビーシッターさんを利用している人も多いです。
──日本だとベビーシッターは料金が高かったり、手続きが煩雑だったり、シッター側が人手不足だったりするなどの障壁があります。