「実は、私も小学校高学年のころ、いじめに遭っていました。だから、あの絶望感と辛さは痛いほどわかります。ただ、『お父さんとお母さんには絶対言わないで……』と懇願されてしまい、かといって自分で学校に乗り込むこともできず悩みました。
でも、仲のいい大学や地元の友達に相談すると、2人とも『約束を破ることになっても親には話すべき』って。それで彼女の父親、つまり叔父さんに包み隠さず話すことにしたんです」
打ち明けてくれた佳南さんに感謝の言葉を口にする叔父。そのうえで「娘のことはこっちでなんとかするから」と言われたそうです。
「ただ、『私も知らないフリを続けるから打ち明けたことは娘に内緒にしておいてね』と言われました。どうやっていじめを止めるのかは見当もつきませんでしたが、妙に自信ありげに語っていたので任せることにしました」

それから約10日後、次に従妹に会うと「毎日あった嫌がらせが突然止んだ」と報告されます。それどころかいじめグループの女子たちが全員謝ってきたというから驚きです。
「叔父さんが何かやったのだと思いました。けど、彼女はその辺の事情を何も知らなそうだったので、いじめがなくなったことを一緒に喜びました」
その後、叔父からは事の顛末を少しだけ教えてもらったそうですが、彼は地元市役所に勤める公務員。それも少し前まで教育課に配属されており、教育委員会のメンバーや市内の公立学校の校長・教頭とも顔見知りの関係でした。
当然、従妹が通う中学校も例外ではなく、「個人的なツテがあってね、ちゃんと対処してくれるようにお願いしたんだ」と説明を受けたそうです。
「本人は笑いながら『職権乱用はしてないからね』と言いましたが冗談には聞こえませんでした(苦笑)。いずれにしても叔父さんが動いてくれたおかげでいじめがなくったわけですし、無事解決してよかったとは思っています」
具体的にこの叔父と学校の間でどんなやり取りがあったのかは気になるところですが、“お願い”された側にとってはたまったものではなかったはず。それでも本気でやればこんなにスピーディに対応できるわけですし、どのいじめ問題についてももっと迅速に取り組んでほしいものですね。
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<文/トシタカマサ イラスト/とあるアラ子>
トシタカマサ
ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。