――尾野さんは、さまざまな賞も取られています。そうした評価も、追いかけ続けるモチベーションにつながりますか?
【画像をすべて見る】⇒
画像をタップすると次の画像が見られます

『千夜、一夜』より
尾野「そこは完全なご褒美です。賞をもらいたいから芝居をやっているわけではないし、でもそうやって、自分が好きでやってきたことに対して評価をいただけるというのは、純粋にご褒美だと感じます。それより、
このお仕事をしていて素敵だと感じるのは、人にも夢を与えられたり、笑顔にできる職業なんだということ。それが返ってきています」
――返ってきている?
尾野「うちはすごく仲良し家族なんですけど、でも昔は私、幸の薄い役とかしかやってなかったから、家族も観てくれてなかったんです。ドラマに出演しても『ワンシーンでしょ』みたいな感じで(笑)。でも私も少し知られるようになってきて、そしたら家族も私の仕事に興味を持ってくれて、だんだん楽しんで、笑顔になるようになった。
それに、私の作品ではないのだけれど、姪っ子たちが職業ドラマを見て、その職業になりたいと夢を持ったりしている。そういうのを聞くと、もっと頑張らなくちゃと思います。観てくれる子どもに夢を与えたり、観てくれる人を笑顔にしたいな、できる職業なんだなって。続けてきたことで、だんだん返ってきた。だから評価というのも、いただくことによって、もっと自分が知られるようになれば、より多くの人を笑顔にできるようになるのかなと思います」

――最初に本作は「地味」というお話もありましたが、それこそ尾野さんが出ているということが、足を運ぶきっかけにもなります。
尾野「そうだと嬉しいです。『とにかく観て!』としか言えない映画なので。この作品に共感して欲しいとは、私は思っていません。ただ、この主人公の女性の姿を『あなたはどう思いますか?』と投げかけている作品。きっと、いろんなことを感じられます。あと! 舞台になっている佐渡(新潟県の島)がすごく美しいんです。船じゃないと行けないような場所なんですけど、でも船に乗ってでも行きたくなると思いますよ」

『千夜、一夜』より
(C) 2022映画『千夜、一夜』製作委員会
ヘア&メイク/黒田啓蔵(Iris) スタイリスト/関口琴子(ブリュッケ)
<撮影・文/望月ふみ>
望月ふみ
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。
@mochi_fumi