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ドラマ『silent』プロデューサーが語る「紬が“青い服”を着ているワケ」

映画畑のスタッフが集結。短いセリフが空気感を作りだす

――セリフが少ない分、気持ちが描けるということでしょうか。 「セリフを少なくするためにろう者を描いているわけではなくて、このドラマは聴者同士でも一つ一つのセリフが短いんです。生方さんのセリフは、日常会話にある『ふーん』とか『うん』とか『そうだね』とかいうような合いの手を取り入れているから、セリフのひとつひとつはセンテンスが短くても、会話自体は長くて。そのリアルなやりとりを丁寧にやっていると、ああいう余白のある空気感が出る。  ただ、タイトルが『silent』ですから、その言葉を表現するために、音楽やSEや演出で過剰に情報量を付与するのではなく、意図的に余白を作ることは意識しています。そのために、風間太樹監督にオファーをして、カメラマンや、照明、録音などにはCMや映画畑のスタッフを集めました」
ドラマ『silent』第6話より

ドラマ『silent』第6話より

――風間さんは映画化もされた『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(通称『チェリまほ』テレビ東京系、2020年)などで注目された方ですね。 「彼を最初に監督に抜擢したのは僕なんですよ。映画『帝一の國』のスピンオフドラマ『帝一の國~学生街の喫茶店~』の演出を依頼しました。『帝一の國』の監督補(※クレジット上ではプロダクションマネージャー)だった風間くんは脚本打ち合わせにも参加していました。性格がよくて、人懐っこくて、いろいろな意見も出していて、そのセンスが良かったので、スピンオフドラマを作るとき、彼の監督作品をひとつも見ていないにもかかわらず(笑)、風間くんに声をかけました。  当時、彼はまだ自主映画しか撮ったことがなかったのですが、できたスピンオフはめちゃくちゃよくて。そのあと映画『チア男子!!』(2019年)をやって、ドラマ『チェリまほ』で火がついて……」
ドラマ『silent』第3話より

ドラマ『silent』第3話より

「僕が好きな彼の監督作はドラマ『うきわ―友達以上、不倫未満―』(テレビ東京系、2021年)です。淡々と客観的に不倫を描いたドラマがすごく良くて、僕の狙っている感じに近いと思い今回の『silent』をお願いしたら、ドンピシャでした。  ゴールデンプライムの連ドラを一度も撮ったことがなくて、しかもあの若さ。そういう監督にチーフを頼むのは異例なんですけどね。信じてよかったです」
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紬の“青い服”は同じ服を着まわす生活感。細部でもリアリティーを追求
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放送されなかったシーンも含めた完全版の脚本に加え、名場面を振り返るドラマのハイライトシーン、脚本家・生方美久×プロデューサー・村瀬健の対談も収録

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