「開口一番義姉は、義母の他人行儀な理由が『
夫の前妻に対して真逆な接し方をした結果の反面教師』だということを教えてもらいました。でも、はじめはいまいちピンときませんでした。私には真逆な振る舞いをするお義母さんの姿が想像できなかったんです」

義姉いわく、義母は前妻に対して娘のようにかわいがり、料理や裁縫などあらゆることを惜しみなく教えたそうです。前妻も最初のうちは喜んでいただのですが、何度か義実家に足を運ぶ間に、それが徐々に苦痛になってきたと言います。
「たぶんね、前妻は真面目な性格だったと思うの。でね、義母さんがそんなよくできる前妻に節度を超えたリクエスト、例えば、次回の親戚の集まりには美味しい料理を振る舞ってほしいとか、私の子供に毛糸で何か編んであげたりしてほしいとか、リクエストのハードルが上がってきたのね。ま、前妻がそれだけできる女性だったのかな」
と教えてくれた義姉。前妻は次第に体調が悪くなり、義実家へ足を運ぶどころか、自宅から外へ出るのもやっとというくらいに、精神的に病んでいったそうです。
「それから1年ほどたったあたりかな。弟から相談があって、前妻とは離婚を視野に話し合っているって言われたのよ。ま、私は無理もないとは思ったんだけど、彼女の体調が一番だしね。結局その半年後に離婚が成立したわ」
そんななか、早希さんとの再婚が決まり、義母は同じ過ちを繰り返したくないという気持ちから、前妻の時とは真逆の接し方としているとのこと。
早希さんは、義姉が教えてくれたいきさつを知ることで、ようやく義実家での他人行儀な行動をとる義母のことが理解できるようになりました。そうと知った早希さんは、時間をかけてでも義母との距離を近づけたいと思うようになります。
「夫にもすぐにその気持ちを伝えました。
今の目標は、いつの日か一緒に台所に立つことですね。そのために、今は少しずつ心の壁を崩せるよう頑張ります」
あの年の瀬以降、早希さんは月に一度趣味のお菓子を作って義実家へ持参しているそうです。それも、玄関先で義母へ手渡しし軽いあいさつだけで義実家を後にしているそう。

義母から届いたハガキ(早希さん提供写真)
「嬉しいことがあったんです。先日、義母からお菓子のお礼にハガキをいただいたんです。内容はシンプルでしたが、少しずつ距離が縮まっている気はするんです!」
早希さんは充実した笑顔で語ってくれました。
―シリーズ「年末年始・帰省のトホホ」―
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<文/大杉沙樹>
大杉沙樹
わんぱく2児の母親というお仕事と、ライターを掛け持ちするアラフォー女子。昨今の情勢でアジアに単身赴任中の夫は帰国できず。家族団欒夢見てがんばってます。