――佐野さんにとっての坂元裕二さん、渡辺あやさんのような存在を、私たちも人生の中で見つけることはできるでしょうか。なぜ佐野さんは、2人の懐(ふところ)に入っていけたのでしょう?

恵那は、岸本の前では自分をさらけ出せる(C)カンテレ
佐野:私は常々、日本に足りないのはセラピーだと思っているんです。欧米だと、うまくいかないときに、セラピーを受けて精神科医に何でも話すじゃないですか。そういうことが必要だと思います。日本にはなかなかないんですが…。
たぶん私は、人に自分を開示するのが得意で、それは自分に対する評価が低いからでもあるんですけど、私の話で面白がってくれたらそれでいいと思っていて、自分の人生の物語を初対面の人にでも話せるんです。それが、懐に入っていけた理由の一つかもしれません。
実際、自分の幸福がどこにあるのかは人に問われないとわからないこともあるし、問われて初めてハッとすることもありますよね。
私の場合、渡辺あやさんの問う力の凄さによって、いつもより喋っちゃったこともありますが、自分を開示する、自分の手の内を信頼する人に見せてみることが大事だなと。
佐野:例えば坂元裕二さんも『カルテット』をやるときに「今回は家族の話をやるから、本打ち(打ち合わせ)のときだけは秘密はナシにして、お互いの家族の話もしましょう」と言ってくれたんですよ。
人に自分を開示することで、「私は本当は傷ついていたんだ、でも傷ついていることにすら気づいてなかったんだ」とハッとしたり、「あまりに傷ついて鈍くなっていた」と気づくこともあったりして。
そういう話をできる人を見つけて、腹を割って話してみるのが大事だなと思います。
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<文/田幸和歌子>