隣人の家庭を崩壊させてしまった“私の余計な一言”、まさか不倫だったなんて…
はじまった修羅場
「たぶん、さっき玄関先で立っていた女性が本当の奥さんで、部屋の中へ入ったのだと思います。その後特に物音もしなかったので、少し油断してリラックスしようと思ったら、しばらくして突然ガラスの割れる音や壁に物が当たる音が聞こえ始めたんです」
物音は収まる気配はなく、むしろどんどん強まっていく様子。付近は閑静な住宅街なことから、真夜中に始まった凄まじい騒音と怒号が近所にも響き渡っているようでした。
「ガチャーン!とか、ドスンドスン、とか、常識では考えられない騒音と、女性のわめく声。まるで映画の暴力シーンのような迫力だったんです。部屋で耳に手を当ててうずくまっていたら、パトカーのサイレンが建物の付近で止み、警察がやってきました。だれかが通報したんでしょうね」
警察が到着してから1時間ほど経過し、ようやく修羅場が収まったようでした。早希さんは、そのあとも壁に耳を当てて隣の様子をうかがいますが、全く何も聞こえてこなかったといいます。早希さんは結局壁際のソファで一夜を過ごすことになったそうです。
いつのまにかいなくなった隣人
その週末、となりから物音がするので早希さんが恐る恐る玄関に出てみると、引越し業者が荷出しをしていたとのこと。当然ながら、Sさんは何も言わずにマンションを出て行ったのだそうです。
「コミュニケーションって難しいですね。私は地方出身なので、幼い頃からご近所付き合いは当たり前だったし、とってもいい習慣だと思ってるんです。でも、今回の件でそれは封印します。なんだかなぁ……」
―シリーズ「ご近所、悲喜こもごも」―
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<文/大杉沙樹 イラスト/ズズズ>大杉沙樹
わんぱく2児の母親というお仕事と、ライターを掛け持ちするアラフォー女子。昨今の情勢でアジアに単身赴任中の夫は帰国できず。家族団欒夢見てがんばってます。
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