夫とのやりとりでわかった、育った家庭での見た目への言及の多さ
――シバタさんはご結婚されてますけど、パートナーの方から何か言及はありましたか?
シバタヒカリ:実はうちの夫は黒髪ストレート派なんです。だからカーリーヘアにすることで夫の好きなタイプから外れちゃうかもみたいな心配がありました。でも、やると宣言した日にも「いいんじゃない」と軽く言ってくれて。頓着(とんちゃく)のなさに救われました(笑)。
――それは、シバタさんが希望に満ちた瞳で「やりたい」と告げたことも一因なのでは。
シバタヒカリ:そうかもしれません。結局、私が満足している様子を見られることが夫にとっても一番イイんじゃないですかね。極端な話ですが、黒髪ストレートで金欠不幸顔をしている私とカーリーヘアで楽しんでいる私だったら、私が幸せそうな方がいいってことなのでしょう。
夫はもとから見た目についてどうこう言ってくる人ではないのですが、私が上手くスタイリングできて「可愛いでしょ?」と褒めて欲しい感じで言うと「いいカール出てるね!」とは言ってくれます(笑)。
――想像するだけでひじょうに微笑ましい光景です。
シバタヒカリ:思えば私が育った家庭では、見た目について言及されることが多かったように思います。田舎に帰ると未だに家族や親戚から「太ったか」とか体型をいじられることも多くて。それがすごくストレスでありコンプレックスを助長させていたんだと、夫とのやりとりでわかりました。

――今回のお話は、クセっ毛だけでなく、スタイルだったり顔のことだったり、様々なコンプレックスにも通じる部分がありますよね。
シバタヒカリ:実は『らせん状のラブ』の連載中、太りすぎて「もう家の中で生きて行こう」とすら思った瞬間もあったんです。でも、クセっ毛コンプレックスの解消法が縮毛以外にもあることがわかった時、体型コンプレックスにも痩せなきゃ以外の道があるんじゃないかと。
そこで『ラファーファ』というプラスサイズの女の子専門のファッション誌を見てみたら「めちゃくちゃ可愛い服あるじゃん!」って。コンプレックスを隠しつつ、自分を可愛いかもと思えるオシャレは可能だと知れたんです。
――「カーリーガールメソッド」をきっかけに、別のコンプレックスも軽くすることができたのですね。
シバタヒカリ:カーリーヘアにしてから、自分にできることの引き出しが増えていくことに、余計に感動を覚えているのかもしれません。私はカールケアをした方がいいと言いたいわけではないんです。ただ、自分がやれることの幅が広いか狭いかは、精神衛生にすごく影響を与えるのだと思います。
カーリーヘアは自分の精神的な健康にもすごく良かったです。誰しも他人の言うことは気にしない、私は私と言いたいじゃないですか。それでも過去の私は傷ついて涙することもあった。今はそれが確実に減りましたからね。
――では、コンプレックスを抱えている読者の方にメッセージをお願いします。
シバタヒカリ:自分のコンプレックスに向き合っていろいろと調べてみると、意外とできることは見つかるんですよね。
でも、「やらなきゃ」と義務に思うならやらない方がいいとは思います。「やってみたい」と「変わりたい」と能動的に思った瞬間が調べ時じゃないかと思います。その発想が出た時点で大きな一歩ですから。
――ありがとうございました!
<取材・文/もちづき千代子 漫画/シバタヒカリ>
もちづき千代子
フリーライター。日大芸術学部放送学科卒業後、映像エディター・メーカー広報・WEBサイト編集長を経て、2015年よりフリーライターとして活動を開始。インコと白子と酎ハイをこよなく愛している。Twitter:
@kyan__tama