あやしいヨガ講師の言いなりの妻と離婚。指導されると、夫婦の思い出の品もすぐにゴミ箱へ
そうした経緯があるからか、旺太郎さんは些細(ささい)なことも過剰に心配してしまう。
「離婚後は月に数回うちに来て、家族そろって食事することになっているのですが、いま2歳の子どもは米や野菜を食べず、肉や麺、パンが中心です。それって食育的にどうなのか。子どもの体格が横にも縦にもすごく大きいので、将来糖尿病になったりしないかとも心配です」
「また、食後に自分と子どもが遊んでいるあいだなど、妻がずっとスマホをずっといじって子どもに一切話しかけないのも気になって。自分が同席しているからなのかもしれませんが。子どもが年齢のわりに発語がすごく少ないのも、普段からこう接しているからでは? とか考えてしまうんですよね」
あくまで素人考えであるものの、旺太郎さんが口にするお子さんの発育の心配は、そこまで心配するような類のものではないように思える。しかし離れて暮らしているうえ、元妻に妄信的な要素を見てしまった旺太郎さんは、あらゆる不安が増幅してしまう。
「子どもに関しては、健康面、日常生活のさまざまなことも含めて、中学生くらいになって自分の家は周りと違う価値観なんだなということに気づいてくれればと考えています。そして母親の影響から脱出して、精神的に距離を置いてくれればと願うしかありません」
今回の体験談は、助産院の是非や家族の在り方を問うものではなく、「パートナーに“沼”の影を見た」という体験談のひとつである。
冒頭で旺太郎さんは「助産院という選択を止めればよかった」と言っていたが、それはそれで関係が破綻する可能性も高いだろう。しかし完全に放置して“沼”に深入りすれば、家族がさらに苦労するのは想像に難しくない。
“沼”にハマった家族の扱いの難しさ。それがよく伝わってくる話だった。
<文/山田ノジル>
子どもへの接し方、これでいいのか…?

家族が“沼”にハマったとき

山田ノジル
自然派、○○ヒーリング、マルチ商法、フェムケア、妊活、〇〇育児。だいたいそんな感じのキーワード周辺に漂う、科学的根拠のない謎物件をウォッチング中。長年女性向けの美容健康情報を取材し、そこへ潜む「トンデモ」の存在を実感。愛とツッコミ精神を交え、斬り込んでいる。2018年、当連載をベースにした著書『呪われ女子に、なっていませんか?』(KKベストセラーズ)を発売。twitter:@YamadaNojiru
自分が身内が友人が沼ったご体験談を募集中です。当連載における沼とは、科学的根拠のない健康法やマルチ商法、過激なフェムケアや自然派思想など、主に健康問題に関わるものにハマることを示します。「女子SPA!」のお問い合わせフォームより、ぜひお気軽にご連絡ください(お返事に時間を頂戴する場合もあります)。