もし高校三年のあのとき、僕がバイクで事故ってなかったらどうなっていたのか？ 　加藤健一事務所に運よく入れていただけたとする。学校みたいに決まった場所に毎日行ってレッスンを受け、芝居仲間ができて楽しい日々を送れていたかも。そうしたら、役者をもう少し続けていたかもしれませんね。 　でも、やっぱり入れなくてよかったのかな。才能もないのに、変にそのままズルズル続けてしまうよりは、ね。 　それに、僕にとって大きいのは、劇団には所属せずプロデューサーが企画する「プロデュース公演」と呼ばれる芝居に出ていたおかげで、同じように芝居をしていた妻に出会えたこと。のちに僕の人生を変え、落語に巡り合わせてくれた妻とです。「運命のイタズラ」ですね。 ＜構成／女子SPA！　写真／武藤奈緒美＞