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「俺に対してプレゼンしろ」DV夫はワーカホリックが多い…日本社会が抱える”病としてのDV”

依存症というと、何を思い浮かべるでしょうか? アルコール、薬物、インターネット、恋愛……。実は、家庭内での暴力行為、すなわちDVにも依存症の側面があると言われています。
男尊女卑依存症社会

写真はイメージです(以下同じ)

根底にある男尊女卑の価値観

対象が何であれ、「だらしない人がなるもの」「意志が弱いから陥る病気」という依存症に対する偏見はいまだ根強くあります。 しかしそれらの印象は、依存症の本質から大きくずれている。そう指摘するのは、精神保健福祉士・社会福祉士として長らく依存症の臨床現場に携わってきた斉藤章佳さん。 依存症は、「らしさの病」と言われます。男らしさ、女らしさに適応するほど依存症になってしまう――それは、誰にでも依存症になる可能性があるという意味でもあるのです。 そして現在は日本社会全体が「男尊女卑」の価値観に依存しているのではないかと、斉藤さんは問題提起します。 男性は仕事、女性は家庭で無償労働という性別役割分業への依存は、家庭内ではワーカホリック、DVといった形で現れ、必ず被害者を生みます。その実例を紹介しましょう。 (以下、斉藤章佳著『男尊女卑依存症社会』亜紀書房より本文を抜粋、一部編集を加えたものです)

DVの9割以上が、夫から妻への暴力

私はこれまで15年以上にわたって、日本ではじめてDV加害者の問題を専門に扱った心理相談機関メンタルサービスセンター(MSC)で、暴力克服プログラムに携わってきました。 男尊女卑依存症社会DVも反復する加害行為という意味では広義の依存症(行為依存や関係依存)にあてはまり、膠着(こうちゃく)した支配従属関係性への耽溺(たんでき)とみることができます。 これまで加害者臨床の現場で向き合ってきた数多くの加害者たちをふり返ると、ワーカホリックの人が多かったことに気づかされます。 DVとワーカホリックの関係をお話しする前に、DVにおける男女比を見ておきましょう。デートDVと呼ばれる交際中の暴力もありますが、これから挙げる調査の対象は内縁関係を含む配偶者間の暴力です。
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DV夫に共通して見られる、ある特徴とは
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