「地味でモテない男」まで心地よく演じる29歳俳優。“彼女いない歴10年”もリアルに表現
7月期ドラマクールは、前クールから連続出演する俳優が多い。特に赤楚衛二は、赤楚らしい魅力を放ち続けている。
赤楚主演ドラマ『こっち向いてよ向井くん』(日本テレビ系)が、毎週水曜日よる10時から放送されている。恋愛に不向きな33歳の主人公が、周囲からの思わぬ意見に苦戦する様子がコミカルに描かれる。
「イケメンと映画」をこよなく愛する筆者・加賀谷健が、これまで以上にメロウな雰囲気で不思議と心地よいリズムを刻む本作の赤楚衛二を解説する。
第1話冒頭、赤楚衛二が振り返る。ドラマタイトルどおりのワンショット目に思わず身構えた。後光がさすさわやかさ。ありえないほど現実離れした、まさに夢のような表情。これこそスポットライトをあてたい顔だなと思った。
赤楚演じる向井悟はTシャツメーカーで働いている。何かしらの撮影か展示があったのだろうか、クライアントの現場を終え、台車に積んだダンボールを運ぶ。廊下を進むとさっとさし込む照明に一瞬顔が照らされる。
次に搬入口までくる。今度は昼の外光がちょうどいい背景色となる。赤楚の主演作ともなると冒頭から意識的にライトを当て続けたいものかと思うのだが、肝心の向井はあまりライトで照らされているとはいえない地味な人生なのだ。ここが面白い。
スポットライトをあてたい顔
ギャップをあまり感じさせない
あまり照らされていないといっても、仕事はできるし一見モテそうには見える。でもとにかくモテない。もう10年も彼女がいない。しかも実家暮らし。そりゃさらにモテなくなるだろうに。 10年前の彼女との回想場面ではやけに柔らかなライティングが向井を包む。 昔のハリウッド映画の女優を捉えたソフトフォーカス(フォーカスをあまくすることで淡い雰囲気になる)のような画面にさえ見える。この回想があくまで過去の夢でしかないことを際立たせる。 10年後と現在では明らかに状況が違うはずなのに、あまり極端にギャップを感じさせない。赤楚の映え方はどんな場面やシチュエーションでも抜群に素晴らしい。



