夫の不倫を目撃。自宅で体を重ねる現場を見たショックを深める、夫のあきれた言い分/結婚人気記事BEST5
泣いて土下座のあと逆ギレした夫
翌朝も彼女は自分から口を開かなかった。夫は夜になってから謝罪を続けた。酔ってうとうとしていたら彼女が上に乗っていたとか、自分からは何もしていないとか、言い訳にならない言い訳を繰り返し、そのうち泣いて土下座を始めた。
「してしまったことはしかたがないと私は言いました。夫は謝罪を受け入れてくれたと解釈したようです。『僕は一生、きみだけを愛してる』と。どの口がそんなこと言うのかと思いました。
『取り返しがつかないという意味だけど』と私が言うと、なぜか夫は逆ギレして『子どもは渡さないから』って。『家の中でよその女性と浮気するお父さんは、子どもの親としてどうなんだろう』と思わず言ってしまいました」
夫は「きみはオレのことが好きじゃないんだろ。だからそんな冷静でいられるんだ」と言った。だが彼女は冷静だったわけではない。ショックのあまり思考停止状態だったのだ。なぜなら彼女は心から夫を愛していたし敬意を抱いていたから。
傷はいつでも痛んでいる
今年、中学に入学した長女が、夏休み明けに同級生の親が離婚した、と告げた。お父さんが不倫してたんだって、と。お母さんはお父さんを許さないんだって。今や13歳の子も「不倫」という言葉を知っている。
「その瞬間、封印していた箱がバッと開くのを感じました。そう、お父さんが不倫していたら離婚してもいいの、いや、離婚したほうがいいのかもしれない。そこから見えない傷が口を開き始めた。私は夫をかつてのように信頼していない。結婚生活を続けているのは欺瞞なんだと考えています」
あれから10年、そしてあと10年たったら私だって……。彼女は今、そう考えているそうだ。
<文/亀山早苗>亀山早苗
フリーライター。著書に『くまモン力ー人を惹きつける愛と魅力の秘密』がある。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。Twitter:@viofatalevio
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