椿は“2回目の関係性”が苦手。椿が夜々の美容院を訪れた際、「苦しかったんですよ、教室が嫌いで」「同じ地域に、同じ年に生まれたってだけで寄せ集められて、『みんな友達、みんな仲良し』ってあの感じ」など、初対面の夜々に対して椿は本心を口にする。

木曜劇場『いちばんすきな花』第1話より © フジテレビ
ただ、これは
もう二度と会うことが無い人だからこそできるお話。つまりは“親しい関係になる人には絶対にできない話題”といえる。本音を話さないからこそ、嫌われるリスクは低く、“良い人”と思ってもらえる。
しかし「何を考えているのかイマイチわからない」「壁を感じる」と思われ、2人組を組んでくれる人は現れにくい。椿同様に“二度と会わない人”とわかっている状況で、急に饒舌になっていた過去、つい最近の自分を思い出して胸が激しくかゆくなる。それと同時に、そういった性格が影響して友人に彼女を奪われてしまったのかと想像すると、椿に同情して余計に精神的に追いつめられた。
紅葉の葛藤も見ていて辛い。紅葉は表面的な人間関係しか築くことができず、“紅葉だから”と言ってくれる友達はいない。そのことを自覚していながらも「友達でいたい」という気持ちが強く、学生時代のグループLINEで同窓会の話が持ち上がった時には率先して幹事に立候補する。
また、旧友の梅田から電話がかかってきた際、梅田から「これからサシで飲まない?」と念願の“2人組”でのお誘いを受けて笑顔になるも、すぐに「良いお水あんの、すっごい良いお水なの」と言われて
セールス電話だと気づき、すぐに表情が曇るシーンは心臓に悪い。

木曜劇場『いちばんすきな花』第1話より © フジテレビ
紅葉が健気さを見せれば見せるほど、自分が誰からも選ばれなかった時のことを思い出す。紅葉の報われない姿に自分を重ね、思わず目を背けたくなる。ただ、被害者ヅラばかりではなく、「
自分も知らず知らずのうちに、紅葉のような人を蔑(ないがし)ろにしたことがあるのでは?」という不安感にも襲われ、心が四面楚歌になった。
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人間関係を真っすぐに描いた内容となっており、しらふで観るにはかなりハード。それでも、主人公たちがどのように葛藤を乗り越え、成長していくのか楽しみでもある。
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木曜劇場『いちばんすきな花』第1話より ©︎フジテレビ(以下同じ)
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<文/望月悠木>
望月悠木
フリーライター。社会問題やエンタメ、グルメなど幅広い記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。X(旧Twitter):
@mochizukiyuuki