胃袋だけでなく、心も掴まれるハートフルなグルメドラマが『あたりのキッチン!』(東海テレビ・フジテレビ系、土曜よる11時40分~)。原作は、白乃雪の同名漫画です。

画像:東海テレビ『あたりのキッチン!』公式サイトより
極度の人見知りで、コミュニケーション能力ゼロの大学3年生・辺清美(桜田ひより)が主人公。彼女は、
食べた料理の食材から調味料の微細な配合まで完璧にわかる“絶対味覚”の持ち主。就職活動を前に「自分を変えたい!」と、飛び込んだ定食屋『阿吽(あうん)』が物語の舞台です。
生姜焼きの隠し味にハチミツ、肉汁たっぷりのメンチカツにはマヨネーズ、ふっくらと仕上げるサバ味噌の作り方など、家庭料理のヒントとなるレシピも数多く紹介されている本作。しかし一番の見どころは、
清美が料理を出す「相手のことを想う」ひと工夫にあると思います。
第2話で、食べるのが遅く小食なことを気にする鈴代桜(工藤美桜)に、不器用ながら一生懸命寄り添おうとする清美の姿にはぐっときました。そんな彼女に、定食屋の店主・中江善次郎(渡部篤郎)も「
清美さんは、会話じゃなくて料理で人とコミュニケーションがとれる。人を元気にできる。それって凄いことですよ」と彼女を勇気づけます。
「食べる人に喜んでもらいたい」。食文化が豊かになった根源にある、人の温かい思いやりの気持ちが丁寧に描かれており、美味しい料理とともに私たちを癒してくれるドラマです。
自分の短所と向き合いながらも長所を大切に伸ばしていく清美を、繊細に表現する桜田の演技も見どころ。そして個人的には、渡部篤郎の渋く優しく寄り添うキャラクターも非常に好みです。