高校生の息子・ハルキ(櫻井海音)が学校をサボっていると知ったとき、ソファにぐったりと身を横たえていたふみこが「学校、行きなさいよ」と言う。同級生のちふゆにストーカー並につきまとわれて学校に行けなくなっているハルキは爆発する。
「自分はどうなんだよ、家のこともしないでゴロゴロしてばかりいて」

息子に言われたふみこの表情が崩れていき、声を上げて号泣する。そうだよね、そうだよねと。
家の中はごみだらけで荒れ果てている。ハルキには逃げ場がない。彼は、深愛に会いたかった。偶然知り合い、いつでも話を聞くからと言ってくれた深愛に。だが深愛は仕事を辞めていた。それでも彼は、家を飛び出して深愛と話したスーパー前のベンチに腰を下ろす。
一方、那須川と深愛は車の中で愛し合っていた。「店長のためなら」は、彼女にとってのキラーワードだ。この言葉があれば何でもできる。
その後、深愛がやめるときに置いていった私物のポーチを取ってきてあげると那須川が言い出し、車はスーパーの前へ。
ひとり車内で待つ深愛を、やってきたハルキが見つける。近寄ろうとしたそのとき、那須川がポーチを手に戻ってきて車内へ。そしてふたりはキスを交わす。ハルキは呆然と、走り去る車を見送った。

お金も時間もない那須川だから、車内で愛し合うしかなかったのだろう。若い女性と中年男性の不倫なら、女性は「車の中でなんて嫌」と言うことが多いはず。ところが、それを言わないのが深愛なのだ。だから那須川は深愛を手放したくない。
何でも受け入れ、役に立ちたいと言ってくれ、「大丈夫ですよ」と励ましてくれる深愛は、彼にとってある意味で女神なのだ。そしてそれは、ハルキにとっても同じだった。さらにふみこまでもが、深愛に心を許そうとしている。