俳優・櫻井海音は「超有名歌手」の長男。“意外とガッシリ”な体格と病んだ演技の凄み|ドラマ『泥濘の食卓』
共依存的な関係性を超えて、お互いに強く寄生し合う不倫関係を何と呼ぶのか?
「対策を考えてあげたい」
いったい、何の対策だというのだろう? スーパーマーケット「スーパーすずらん」の店長・那須川夏生(吉沢悠)と不倫関係にある店員・捻木深愛(齊藤京子)は、他に客がいない不気味な雰囲気の鰻屋で、夏生から別れ話を切り出されたばかり(第1話)。
何をどう解釈したのか、深愛は夏生の自宅を突き止め、ストーカー行為を繰り返す。そして対策を講じるというのだ。この期に及んでどうかしている。どうかしているが、彼女の行動を単にヤバい奴の狂気じみた言動として片付けてしまうのもどうか……。
というか、ヤバいのはやっぱり夏生のほうではないか。第2話冒頭、「スーパーすずらん」で買い物をした深愛を夏生は車で送る。
「やっぱり深愛ちゃんがいないとダメだ」と言って車内で彼女を抱きしめる。抱き合うふたりの懐に、買い物袋から突き出た長ネギが意味ありげに映り込む。こうして謎の連鎖と彼らのヤバい暴走は続く。
第1話の鰻屋の場面で夏生が別れを切り出したのは、妻の存在が理由になっていた。顔色が悪く、ストレスをためて深愛との不倫に逃避してしまう夏生は、家庭に問題を抱えている“らしい”。
“らしい”というのは、精神的に不安定だという問題の妻が登場しないばかりか、名前すら発せられることはないからだ。第2話の車内場面で妻の具合が悪いことが夏生の口からぼそぼそ語られるが、視聴者は素直に同情できない。
うーむ、謎は深まる。とにかく自分まで精神的に疲弊してきている夏生は、「君のことを嫌いになったわけじゃないんだ」と弁明する。深愛は嬉しい。自分が夏生の「救い」になれたらと心の中で繰返すのだが、これが恐るべき共依存のパラサイト不倫を描く本作の恐怖なのか。唖然となる。
毎週土曜日よる11時30分から放送されている『泥濘の食卓』は、“パラサイト不倫”というキャッチフレーズで宣伝されている。なるほど、いい得て妙ではないかと思った。
「イケメンとドラマ」をこよなく愛するコラムニスト・加賀谷健が、恐怖の連鎖が続く本作の“パラサイト不倫”の実態に迫る。
ヤバいのは誰?謎の連鎖と暴走
共依存の不倫を描く恐怖
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