いまさらここに挙げるまでもないほどの人気俳優である赤楚衛二だが、やはり今夏放送されたドラマ「こっち向いてよ向井くん」（日本テレビ）にはどうしても言及したい……！ 30代、彼女いない歴10年の“こじらせ男子”を、赤楚は実に表情豊かに演じた。恋に迷い、翻弄され、思ってもみないところで貞操観念の低さをちらつかせる。ある種、非常にリアルな姿なのだろうが、そのリアルさゆえ、これを赤楚じゃない人が演じていたらと思うと、ここまで受け入れることはできていなかったのではないかと思う。 赤楚が本来持っているだろう愛嬌やピュアさが下敷きとしてあるからこそ、わたしたちは向井くんを真剣に応援することができた。世間的に評価の高い大作も代表作に違いないが、赤楚衛二だからこそ演じられた、といわれる出演作もまた代表作だ。その意味で、2023年の赤楚は「こっち向いてよ向井くん」という新たなる代表作に出会ったといっても過言ではないだろう。 注目の若手からすでに主演作を多数持つ者まで、20代の俳優陣もバラエティに富んでいる。出演作決定の報を受けるたび、彼らが次はどんな顔を見せてくれるのか楽しみでたまらない。 ＜文／あまのさき＞