約束の日、喫茶店で顔を合わせた伯母は、開口一番相続放棄について話し出します。話の意図がつかめない智美さんのことはお構いなく、カバンから取り出した一枚の用紙に押印を迫ったと言います。

「え?って感じでしたよ。いきなり話し出すんですもん。あまりにも意味がわからなかったので
理由を聞いたら、祖母が生前に借金をしているかもしれないから、もし何らかの負債があったらあなた達に迷惑がかかるので、相続放棄をしてほしいと言うんです。よくわからないし、もう関わりも持ちたくなかったからハンコを押しました」
困ったような表情でそう語った智美さん。伯母は押印を確かめた後、ほとんど何も話さずにそそくさと帰っていったそうです。
智美さんは法学部を卒業している弟に伯母とのやりとりを話すと「
それはさ、おばさんがおばあちゃんの家を独り占めしたいだけだよ」と一言。確かに、亡き祖父も祖母も負債を作るような人ではなかったと振り返る智美さん。
「弟の言う通りだと思いましたよ。でも、いいんです。私達に迷惑がかからなければね。本当に大嫌いです! でも、もう一人のおばさんは母親とも仲がよくて、おばあちゃんの葬儀の時にLINE交換したんです。それだけでも行ってよかったと思ってます」