
また、心さんには、高額な不妊治療の末に妊娠を断念した知人もいるそうです。
「不妊治療には相当な費用がかかるから、子どもを望んでいる人に対して治療費を無償にしてあげるのはどうだろう。本当に子どもが欲しくて頑張っている人を、国が応援してあげるべき!」
初めての子どもを持つ母の年齢は年々上がっていて、厚生労働省が発表した「令和3年度/出産に関する統計」によると平均は30.7歳。高齢出産の目安となる年齢が35歳なので、不妊治療を必要とする女性はこれからも増えていくと予想されます。
不妊治療に関しては、2022年4月から保険適用が始まったものの、人工授精の自己負担額は1回約1~2万円、体外受精の自己負担額は約20万円、顕微授精の自己負担額は約40万円です。また、1回の人工授精で成功する確率は5~10%程度で繰り返し行う必要があります。
心さんは、ため息をつきながらさらに続けます。
「そもそも、政府がしっかり子育て家庭の意見を聞いて、統計的な根拠をふまえてこの施策はできているのかな? 統計や子育て世帯のリアルな悩みをきちんと聞いたりしていれば、こんな条件付きの施策は作れないと思うな」
子どもが3人以上いる家庭だけを対象に大学費を無償化することについては、「不公平だ」と批判する声も上がっているようです。
そもそも、日本では結婚してから出産する女性が多く、まずは結婚する人を増やすのが優先という意見もあります。また、結婚して1人目、2人目と出産したとしても今回の無償化対象外になるため、少子化対策の軸から外れいるという指摘もあります。
「少子化対策のための案らしいけど、大学だけ無償にして『よし、もう一人子どもを産もう!』なんて思うわけないじゃんね。この施策自体、ちゃんと継続していくかもわからないし」
心さんは、もし少子化対策のために大学を無償化にするのなら、子育てをしているすべての世帯に平等にすべきだと語ります。
「せめて、1人目20%引き、2人目30%引き、3人目50%引き、4人目無償みたいに調整していけば、まだ納得いくんだけどな」