アッパー気味のカバー・バージョンの「ホワイトクリスマス」が、第1話冒頭でずっと流れている。全員が揃わない中、パーティは先に始まる。言い出しっぺの上田武志（木村拓哉）がまだこないが、とりあえずいいか。 　が、ここは繊細なキャラクター造形に長けた岡田惠和による脚本世界。明るいクリスマスムードの裏で、武志はチンピラたちに殴られ、路地に転がっている。 　口から血を流し、腹を抱えて街中を歩き回る。狭い路地の間に仲間の吉田守（EBI）が倒れているのを見つける。重症だ。雪がパラパラ降ってくる。哲生の家では、ブラインドから外の雪を全員が喜々としてのぞく。 　ここまで8分足らず。視聴者は作品世界に引き込まれまくっている。いやぁ、うまい。ほどよく省略され、無駄がない。本作こそ、完璧な冒頭描写を持つ名作として記憶されるべきだ。 　夜の街。男と女。酒と暴力。そこに小麦色の肌の木村拓哉。この危うげな雰囲気、『欲望の翼』（1990年）のレスリー・チャンにたとえてもいいんじゃないか。当代一のイケメン俳優として後光が差すよう。 　そして驚くべきは、出演する全員が全員、とにかく瞳がキラキラしていること。 　木村はもちろん、工場仕事で顔が汚れた萩原も、医学部志望の受験生・青柳圭介を演じる武田真治も、商社OL崎山薫役の鈴木杏樹、信用金庫で働く水沼亮子役の深津絵里、亮子と役者を志す大沢たかおもみんなキラキラな瞳。 　かつてのテレビドラマの華やかさを俳優自体が存在感として持っている。時代そのものを背負っているとも言える。画面内の俳優が輝く事実をクリティカルに噛みしめることができる贅沢さがある。