
怒りがおさまらない美幸は、深愛を外へ連れ出す。行き先はすずらんだ。深愛から白状させた「なすかわ」という名の人物を何としてでもひと目見てやろう。執念がすさまじい。
嫌がる娘を無理矢理にでも引きずっていこうとするワンショットを見ると、これはもはや修羅場を超えているように思った。深愛と夏生、そして那須川家での出来事にばかり気を取られていたせいだろうか。
筒井真理子の存在感が、本作の誰よりも恐るべきものだったことに気付かされる。目が覚める思いで続きを見ていると、すずらんで鉢合わせた夏生の慌て具合が、純粋に筒井の演技に狼狽しているように思われた。

深愛と夏生との不倫関係に気づいているすずらんの店員たちが、野次馬根性で騒ぎ始める。あんな形相の美幸が娘を引っ張って連れてきたのだ。嫌でも気になってしまう。
忘れてはいけないのは、本作の発端は、何にせよこのふたりの不倫にあるということを。すべての原因であり、諸悪の根源に他ならない。すると劇中誰よりも聡明なハルキがはたと気づく。
夏生に見切りをつけたふみこが家を出ることを決断し、ハルキが荷物をつめている場面。
夏生とふみこの離婚を気にしながらも、彼のモノローグが言う。「すべての元凶はあいつ(夏生)なんだ」。そうそう、それが正解だよ。全視聴者納得の見解だ。