――どのような思いでパフォーマンスしていますか?
私が発信している性教育やフェミニズムは普段あまり話されないじゃないですか。それについて話すと周りからは「意識高い人」だと思われ、それが嫌だという意見も耳にします。
なので、私はどんな形でも良いから「対話しよう」というスタンスです。対話することで問題が表面化し、制度や社会構造が変わっていくと信じているので。
――対話でいうと、特にSNSではアンチのコメントも多く、なかなか難しいように感じます。
フェミニズムやLGBTQ+という言葉の認知は上がってきているものの、それが何を意味しているのかまでは浸透していない印象があります。なので、言葉を知らない人たちは「なんか盛り上がっている人たちがいるな」といった認識を持ってしまうと感じていて。
特にSNS上でアンチが多いのは、極端な例が突出しているからだと思うんですね。過激なアンチ派に対抗し過激な人たちが出てくると、それに反抗しようとさらに反対派が激化するため、対立構造が生まれている印象があります。
――発信する際に気をつけていることはありますか?
やはり勉強はし続けなければなりません。世界と日本の性教育における現状や、現在話されていることなどについては日頃から調べるようにしています。性教育は性交渉について教えるのではなく、自分と相手を大切にすることから始まるものです。なので、それを噛み砕いて、わかりやすく発信することは意識しています。
――性教育というと、堅苦しいイメージを持つ人もいるかもしれないですよね。ラビアナさんのように“ポップに”問題提起することで、多くの人に知るための入り口が開かれているように感じます。
メイクが好きな人やドラァグのパフォーマンスを見たい人、音楽を聴きにクラブに行く人など、もともと性教育に興味関心がなくてもいいのです。1人でも「こういうのがあるんだ」と性教育について知ってもらえたら嬉しく思います。

体毛を生やすスタイルを貫いている
――ラビアナさんは体毛を生やしたスタイルが印象的です。ある種、冗談まじりに性教育を発信しているようにも捉えることができ、そのギャップが魅力的だと感じたのですが、そのようなスタイルに至った経緯を知りたいです。
小3くらいから体毛が生え始め、毛深いことにコンプレックスを持っていました。最初は足の毛を剃ったり、まつ毛を切ったりしていたのですが、剃る行為って自分を痛めつけるというか、荒れるし痒いし痛いんです。
最初は毛を剃ってドラァグをしていたのですが、剃らなきゃいけないというプレッシャーがどこから来ているのか考えた時、ドラァグクイーンは「社会がつくり上げた女性性を表現するアート」だと思い始めました。
そこから体毛を生やしていても美しいことを証明したいという思いが強くなり、それから今のスタイルを実践しています。私のスタイルを見た人が「違和感」を抱き、女性らしさについて考えるきっかけになればいいなと。
――ドラァグクイーンは一般的に「女性性を誇張した存在」とも言われ、中には女性らしさのテンプレを助長させているという意見も存在します。それに関しては、どのように捉えていますか?
私も女性を馬鹿にしているんじゃないかという意見は言われたことがあるのですが、ドラァグは女性らしさのテンプレを助長するというより、女性らしさをみんなで見直すきっかけになると考えています。
例えば、男性を「女々しい」と表現すると悪口に聞こえるじゃないですか。ですが、女々しいことがなぜダメなのか、ネガティブに聞こえるのか、むしろパワフルなことではないのか。と考えることができます。