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男性にとっては恋心、でも女性にとっては…視点が変わると恐怖に。大反響のマンガが問う「理系大学」での男女間のヒビ

『先輩は綺麗な人だった』で、先輩にあたる女性は「別にセクハラをされるわけでもない」と思っている。たしかにあからさまな接触や、強引な誘いはない。誰もが“被害”と断言するようなわかりやすさが、ない。 また理系女ちゃんは昨年の夏、『ハラスメントを告発した話』という作品をXに投稿している。そこで描かれているのは、男子学生から女子学生へのハラスメント。 理系女ちゃん漫画ここでもまた、男子学生は恋愛だと思っている。女子学生は“ただの同期”としか思っていない。食事の誘いなどを断り、恋人がいることを伝えたところ、関係がギクシャクし、彼から嫌がらせを受けるようになる――というハラスメントの過程と、告発したあとの大学や教員の対応が描かれている。 一読して感じるのは、「ハラスメントを、ハラスメントとして認めてもらう」ことのむずかしさだ。 【マンガ】⇒理系女ちゃん作『ハラスメントを告発した話』を読む

恋愛問題に見えるハラスメント

教員から学生へのアカハラはたびたびニュースにもなるが、多くの場合、上下関係を利用していることが誰の目にもあきらかだ。一方で、学生間のハラスメントには、そのわかりやすさが、ない。 特に一方が「恋愛である」と主張しているときは、判断する側に「個人間の恋愛問題」と受け取られることも多いのではないか。 ――学生間の、一見“恋愛問題に見える”ハラスメントを訴えるむずかしさについて、教えてください。 勉強 メガネ 数学 ノート 理系 科学理系女ちゃん:大学教員にとって研究室の運営は仕事の一部でありますが、同時に彼ら自身が研究者でもあります。ですから、個々の学生の細かな性格や特性を把握する余裕はない人が多いと思います。そんな教員にとっては誰の主張が正しいか判断することはむずかしいでしょう。そもそも教員が対応を面倒くさがるという声も聞きます。 また教員自体も、男性がマジョリティのコミュニティで大学生活を送っているため、男女間のコミュニケーションに関する価値観がズレている可能性もあります。 もし訴えても聞き入れられなければ、その後、研究室内での人間関係が悪くなることは自明ですし、訴えることをあきらめている学生も少なくないと思います。

声を上げやすくするには?

――男女比が大きく女性の数が圧倒的に少ないこと、の弊害がここにもあるのですね。 理系女ちゃん:現在、理系アカデミアでは、女子率を増やそうという動きがあり、一例をあげると東京工業大学が昨年、奨学金に「女子学生枠」を創設し、奨学生の募集を開始することを発表しました。ですが、この「増やさなければならない」というプレッシャーから、ハラスメントを隠蔽してしまう機関もあるようです。 ――議員でも管理職でも、女性の割合を増やそうというアファーマティブ・アクションは、「女性を優遇するのか」という反発を招きがちです。理系の大学や大学院では、そのようなことはないでしょうか? 理系女ちゃん:それについては現在、かなり議論が行われています。そのこともいつか漫画に描いて、掲載できればと考えております。 理系女ちゃん漫画――『ハラスメントを告発した話』では、やはりハラスメントを受けた側、訴えた側が場を去ることになるのだと苦い気持ちにもなりました。 理系女ちゃん:教員や学内の相談室に訴えても聞き入れられない、という声が多いのが現状のように思います。教員側からするとハラスメントを理由に停学や退学といった処分を下すのは、よほどひどいケースでないかぎりむずかしいのかもしれません。 教員を対象としたハラスメント講習が各大学で設けられていますが、あまり効果的でないように感じています。セクハラにかぎらず、被害者側がどのような証拠を持っておくべきか、また学外も含めどこに相談するべきか、などの情報がもっと充実すると、少しでも被害者が救われるのではないでしょうか。 【マンガ】⇒続いて、理系女ちゃん作『ハラスメントを告発した話』をお読みいただけます!
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