約半年のライターズスクールを修了後、由美さんは、広告冊子や販促本などを手掛ける編集プロダクションに転職。
ゆかりさんもフリーライターの仕事をスタートした時…
「ちょうど仕事を退職したばかりのタイミングで、長年付き合っていた彼氏の子供を妊娠したので、結婚することにしたんです」
しかし、ゆかりさんが出産すると聞いて、由美さんは「高齢出産って大変かもよ」と、1歳とは言え向こうの方が年上なのに、モヤっとする一言を言い放ったとか。
「前々から、『結婚しないそんな彼氏やめちゃえば』と否定的だったんです。妊娠中は、少し距離を置いていました」

妊娠や育児がきっかけで、それまで仲が良かった女友達との間に軋轢が生まれてしまうというのはよくあるケースでしょうが、由美さんは妊娠に関して、無神経な発言を連発したそうです。
「私はずっと赤ちゃんが逆子で、なかなか治らずに帝王切開することになりました。
親しい友人には出産予定日と入院先を連絡したのですが、由美からは『ずっとSNS見ていて、そうなるかなと思ってた』と、帝王切開をまるで待っていたような発言をされて、イラっとしたんです…」

しかし出産後は、自宅まで絵本をもってお祝いに来てくれたそうです。
「私も、妊娠中の一時的ないらだちだったのかもしれないと思って、由美と会うことにしたんです。由美は絵本コンシェルジュに選んでもらったという絵本をプレゼントに持ってきてくれました。
そういう気遣いはいつも素敵だなと思うのですが、『ゆかりの娘の名前を検索してみて画数を調べた』と言われ、返答に困りました…。
極めつけは、『帝王切開って痛くないんでしょ』と一言。耳を疑いました」
帝王切開は開腹手術ですから、手術後に麻酔が切れたあとがめちゃくちゃ痛いと言われています。
どうやら、親しい間柄には遠慮はいらないと考えているらしき由美さんの態度。しかし、言われたほうにとっては忘れられない一言ですよね。ナイーブな問題に対しては、余計なことは言わないほうがよさそうです。
―シリーズ「
許せない一言」―
<文/池守りぜね イラスト/真船佳奈>