また、一般的には、夫が妻に不倫されると怒りの矛先は妻に、妻が夫に不倫をされると怒りの矛先が不倫相手の女性に向かうことが多いと言われています。「正妻vs不倫相手」という、女同士の正義と悪がぶつかり合う構図が多くの人の関心を呼ぶのではないでしょうか。
「女の敵は女」という状況がどのくらい現実世界で起きているかはさておき、「女の敵は女」的なシチュエーションを好む人は特に男性に多いと思います。特に、女性全般を見下し、小バカにする「女さん」という呼び方がスラスラと口から出るようなアンチフェミニズム思考の男性に。
既婚者と不倫をする女性を「最低なクズ」と面白がり、さらには夫に不倫されたサレ妻を「哀れ」と面白がる。本当にサレ妻に同情して応援しているのではなく、結果がどうなろうと、どっちがどう不幸になろうと、彼らは楽しいのでしょう。
そしてその層が、サレ妻に「さらせ」と無責任な扇動をしていたのではないでしょうか。それが、当該サレ妻の暴走や、2万3000筆を超える不起訴署名にも繋がった気がしてならないのです。
もちろん同じように夫に不倫された経験からサレ妻アカウントに共感し、「私のかわりに復讐してもらいたい」と自己投影している女性も少なくないでしょう。サレ妻アカウントを作る本人たちは、不倫された事実を誰かに聞いてもらって共感してほしい一心で、苦悩や心境を吐き出すために当初は始めたはずです。
それがいつしか人気アカウントとなり、暴走して、不倫の被害者だったのに名誉棄損の加害者になっては、あまりにも不憫な話。これからサレ妻アカウントを始めようと思っている人は、今回のサレ妻逮捕の一件を踏まえて、本当の共感者や応援者以外の野次馬に気を付ける必要があるでしょう。
<文/エタノール純子>
エタノール純子
編集プロダクション勤務を経てフリーライターに。エンタメ、女性にまつわる問題、育児などをテーマに、 各Webサイトで執筆中