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二重国籍をめぐって蓮舫氏を批判する人たちに抱く“違和感”「日本で活動してきたのは周知の事実」

区市村長が小池氏に出馬要請をする不気味さ

2024年5月22日「令和6年度第1回東京くらし方会議」に出席する小池都知事

2024年5月22日「令和6年度第1回東京くらし方会議」に出席する小池都知事※東京都ウェブサイト「知事の部屋」より

 都内に62人いる区市村長のうち、52人の有志が参加して、連名で小池都知事に出馬要請をしたことも話題です。  これらの区市村長たちは、それぞれの自治体の長として選挙で選ばれています。各自治体の有権者は都知事選の有権者でもあるわけですから、代理人が勝手に出馬要請を行うことには違和感があります。民主社会における選挙は、主権者の代理人を選んでいるだけです。都知事に誰がふさわしいかは、有権者が判断すれば良いことです。  誰がこの出馬要請に加わったのかは記事に出ていますので、ぜひ見てもらって、誰が有権者を軽視しているか、誰が民主社会の構造を理解しているかを確認するのも良いと思います。  この出馬要請に関しては、新宿区の吉住健一区長が呼びかけて取りまとめていったということです。一方で世田谷区の保坂展人区長は「誰が政策を争うかも見えてない時に、名を連ねるわけにはいかない」と、有志に加わらない意思を表明しています。  有志に名を連ねた日野市の大坪冬彦市長は「当初は応援の依頼だった」と発言していることからも、知事からの要請があったのではないかという声も出ています。公明党、都民ファーストの会からの出馬要請も同日に行われ、メディアも入れた儀式的な場が作られていたので、知事側が用意周到に準備してたのでは、と考えてしまいます。  これと似たような風習としては、自民党元幹事長の二階俊博さんの三男・二階伸康さんの次期衆院選の新和歌山2区からの立候補をめぐり、和歌山県内の全21町村でつくる県町村会が出馬要請をするというニュースが先日もありました。なんだか自民党と似たようなことをやっているんだなとは感じました。これも選挙戦の際の参考になるといいかなと思います。

蓮舫氏の二重国籍問題と、批判への違和感

国会で発言する蓮舫氏

※蓮舫氏公式サイトより

 蓮舫さんは、今はなくなってしまった民進党の代表を務めていた時代があります。この時に、二重国籍の問題が指摘されました。もともと、台湾(中華民国)国籍を持っていましたが、日本国籍を取得した後も、台湾国籍を取得したままになっていたという指摘です。2016年に台湾籍を離脱したので今は二重国籍ではないですし、ずっと東京で育っていた人でもあります。  蓮舫さんは僕が中学生ぐらいのときに、タレントとしてビートたけしさんの『スーパーJOCKEY』(日本テレビ系)に出てた頃からテレビでは知られていた存在でもあり、日本で活動してきたのは周知の事実です。ですが、この国籍問題に関して不思議だなと思うことが一点あります。  二重国籍の問題を指摘するときに「中国」という言葉を使って批判する人が多いですが、台湾という国に対しての知識がちょっとでもあると、これを中国という言葉でひとまとめにはできないと思います。もちろん中華人民共和国側はそういう意図でしょうが、必ずしも中華人民共和国的な視点に立つ必要はないと思います。  台湾では民主的な選挙が行われて、先日、頼清徳新総統が誕生しました。日本にも「台湾加油(=台湾がんばれ)」と台湾を熱く応援する人がたくさんいます。ネットにも、SNSアカウントに台湾を応援していることをわざわざ書いていたり、「台湾の民主主義を守れ」と発信をしている人もいます。  こうした人たちは、台湾ルーツの蓮舫さんが日本人として立候補するのは素晴らしいことじゃないか、という反応をするかと思いきや、そうでもありません。SNSで台湾を応援していると言っているアカウントの中で、なぜか蓮舫さんの国籍になると「中国系の議員」と表現している人を見かけます。いやいや、そこはあなた、台湾を応援しているんだから一緒くたにはしないでしょう……と思うんですが、どうも蓮舫さんに限っては中華人民共和国的な視点に立ってものを言ってしまうようです。とても不思議です。  都知事選には日本国籍でないと出馬できないので、今回の選挙戦において蓮舫さんの国籍は問題ではありません。蓮舫さんはかつて民進党の代表を務めていました。その際、短期間で代表の座を降りたことは、組織のトップとしての手腕が問われるとも思います。
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小池都政を採点する機会
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