
宣孝(佐々木蔵之介)に結婚を申し込まれ、都に戻ってきたまひろ(吉高由里子)。
越前に行っている間に状況はいろいろと変わっていた。屋敷にはいとの「いい人」だという福丸がいた。乙丸は越前からきぬという女性を連れて帰ってきていた。ある意味、変わらないのは惟規(高杉真宙)だけかもしれない。彼は彼で、乙丸やまひろの変化に戸惑いを感じているようだ。
それぞれに「いい人」ができ、屋敷はにわかに賑やかだ。
まひろが帰ってくると、さっそくやってくる宣孝。相変わらず、イケオジなだけではなく、ほんの少し欲が覗かせる感じが絶妙である。
心なしか、まひろも前より楽しそうだ。為時からは潔癖ゆえに宣孝にほかにも妻がいることが心の負担になるのでは、と言われていたが、まひろはまひろでどこか割り切っているところがあるのかもしれない。
どんな形であれ、幸せになってほしいとは思うが……。

すっかり大人になった道長とまひろだが、宣孝はふたりの何枚も上手だ。
宣孝は除目で山城守に任命された礼を言いに道長を訪れる。
そこで「為時の娘も夫を持てるようになりました」と切り出す宣孝。明らかに動揺する道長。「それはめでたいことであった」と言うが、そこに、「実は夫は自分である」と追い打ちをかける。紙を持つ手にグッと力が込める道長。おお、耐えてる耐えてる……。この一瞬にきっといろんなことが頭をよぎったのだろうな、ということが想像がつく。
もし自分が道長だったとしたら「宣孝と結婚するなら、俺でもいいじゃん!!」って多分思ってしまう。口には出さずとも。
道長はまひろに大量の婚礼祝いを届ける。祝いの言葉が書かれた文もあったが、その筆跡は道長のものではない、とまひろはすぐに気がつく。

その日の夜、まひろは宣孝に身をゆだねる。自分から宣孝に文を書いたのだ。道長の行動が、まひろの背中を押してしまったのだな、ということが分かる。そういえば、道長が倫子(黒木華)のもとを訪れたのは、まひろの言動がきっかけだった。
あくまで、ふたりの心の中にはお互いがいる、というのが大前提。にも拘わらず、結ばれないのか……ということをあと何度思うことになるのだろうか……。
<文/ふくだりょうこ>
ふくだりょうこ
大阪府出身。大学卒業後、ゲームシナリオの執筆を中心にフリーのライターとして活動。たれ耳のうさぎと暮らしている。好きなものはお酒と読書とライブ