大河ドラマ『光る君へ』第25回(C)NHK(以下、同じ)
越前から都へと戻ってきたまひろ。宣孝から結婚を申し込まれたのがきっかけだ。まひろの人生が大きく変わる瞬間がやってきた。
一方、道長は政から心が離れている一条天皇に頭を悩ませていた。
離れていた時間が愛を育てる、などというが、それは一条天皇(塩野瑛久)に当てはまるのだろうか。
定子(高畑充希)が戻ってきてからというもの、通い詰めている一条天皇。政もおろそかになるほど。道長(柄本佑)も会うことができず、難儀するばかり。蔵人頭の行成もなかなか会うことが叶わない。
民のことを案じていた一条天皇だというのに、今は定子の幸せばかりを願っているようにも見える。
一方、定子はどうか。かつては家の繁栄のため、心を砕いていたように思うが、今は子どもの幸せが一番なのかもしれない。母が子のことを一番に考えるのは仕方がないこと。ただ、ふたりの愛は国を傾けかねない。
頭を悩ませるのは道長だ。安倍晴明(ユースケ・サンタマリア)は今後、凶事が続くと言う。地震、疫病、火事、日食、嵐、大水か、と問う道長に晴明は全てだと答える。邪気払いをしたところで災いの根本を取り除かなければならない。当然、道長の脳裏には一条天皇と定子のことが過る。
悪しき政は凶事を呼び寄せるのか……自然の力に人間がどうにかできるものではない、と思うかもしれないが、政がしっかりとしていれば、災害が起こったとしても立ち直りは早いだろう。しかし、政がおろそかになっていれば、災害は想定以上の被害になってしまう可能性は大いにある。……なんだか他人事のようには思えない話である。
そして、懸念していたことが起こってしまう。大雨で鴨川の堤が崩れた。その被害で多くの命、家や田畑が失われた。
道長は堤の修繕を一条天皇に奏上していたが、それが伝わらず。道長が独断で修繕を進めたが間に合わず、大事に至ってしまった。これは、自身が煮え切らなかったため、左大臣である自分の罪であるとし、辞職を申し出る。一条天皇は自分が悪いと言い、道長の辞職を認めない。
もちろん、道長が辞めるつもりがあるわけではない(いや、ほんの少しぐらいは辞めたいなあと思っているかもしれない)。一条天皇との駆け引きだろう。
あんなに真っすぐな道長が駆け引きなどするようになったのだな……と感慨深いものがあるが、そうならざるを得ないのだろう。