彰人さんの部屋の合鍵を持っていない知世さんは、仕方がないのでマンションの近くに隠れて待ち伏せすることにしました。
「そのマンションに女性が入って行くたびに『もしかして彰人の新しい女かも?』とカリカリしながら待っていたら、仕事帰りにコンビニ袋をぶら下げた彰人が歩いてきたんですよ」
そして知世さんが「来ちゃった」と彰人さんの前に現れると……。
「私の顔を見てハッとした彰人は、鞄とコンビニ袋を投げ捨てて『見ないで!』と悲鳴まじりの声で叫びながら頭を抱えてしまって。最初は意味がよく分からず、ん? という感じでした」

ですがよく頭を見てみると、以前よりおでこがかなり広くなって、頭頂部も薄くなっているのが分かったそう。
「私が彰人の頭にそっと手をやり「もしかしてこれを私に隠そうとして、会ってくれなくなったの?」とたずねたらコクッとうなずいたので、とりあえず話をしようということになって」
そして久しぶりに彰人さんの部屋に入ってみると、その一切女性の気配がない、むさ苦しさ全開で散らかり放題な様子に、知世さんはホッとしました。
「話を聞いてみたら、転勤してから仕事がよりハードになってしまい、そのストレスから暴飲暴食に走ってしまった結果、抜け毛が増えて、急激に薄毛が進行してしまったそうなんですよ」
「こんな姿を知世に見せたら、ガッカリされて絶対に振られてしまう」と焦った彰人さんは、とりあえず育毛剤でなんとか髪を増やすように努力していたそう。
「その時間稼ぎのために、私に会わないようにしたりビデオ通話を避けたりしていたし、写真も頭が写っていないものしか送れなくなっていた、というので呆れてしまいました。私がそんなことぐらいで彰人を嫌いになるわけないのに」