――同じ事務所では、さまぁ~ず(当時は「バカルディ」)が同期なんですよね。
田口:役者としての所属は僕のほうが早いんですけど、芸人コンビで言うとほぼ同期ですね。向こうは東京の下町の子、僕らは福岡の田舎者だけど、同じ昭和42年生まれなのでやっぱ仲良くなって。タイプは違ったけど、2組で合同ライブをやったり、一緒にネタを作ったりしたこともありましたね。
当時、ホリプロでお笑いやってる人間たちは、今はもうない事務所の5階の稽古場に週1回ネタ見せに行かなきゃいけなかったんです。だから、みんなそこに集まってネタ見せして、毎月1回のライブに臨んでました。そんなサイクルが2年ぐらい続いたのかな。
――若手の勝ち抜きお笑い番組『LIVE 笑 ME!』(日本テレビ系)では目立つ存在だったと思います。爆笑問題、ホンジャマカ、SET隊(岸谷五朗・寺脇康文・山田幸伸による3人組)など、そうそうたるメンバーが出ていますが、どんな心境で番組に臨んでいたのでしょうか?
田口:今の芸人さんって、みんな仲が良くて徒党を組んで番組を盛り上げるじゃないですか。あの当時はもうみんなライバルって感じ。楽屋でも会話しないし、みんな「芸人としてどっかで破綻してろ」みたいな感性で生きてたからギスギスしてました。シティボーイズ寄りの“東京のお笑い”って流れもあって、演劇チックなものとか無表情で演じるシュールっぽいものが流行ってたんです。だから、東京の芸人たちはみんな「関西とは違うよ」みたいなネタをやってました。
当時は、僕自身も太ったキャラの割にバカになり切れないというか、「一応、俺ネタ作ってるから」みたいな、東京のお笑いチックな部分があったんですよね。そんなことどうでもいいだろって今の年齢になって思うんですけど(笑)。
――1990年前後は、東京を拠点に活動し始めたダウンタウンの影響も大きそうですね。
田口:デカかったですね。ダウンタウンさんが上陸してきて、ブワーッとみんな撤退していくみたいな。俺ら東京の芸人は「自分が思ってることをどう面白く伝えるか」っていう論理的な素地がないから、『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』(日本テレビ系)のフリートークが始まったときに「勝てねぇ」ってみんな思ったんじゃないかな。
その少し後に、吉本印天然素材が人気になるんだけど、たまたま僕らは大阪の番組(読売テレビの『怒涛のくるくるシアター』および『電動くるくる大作戦』)で雨上がり決死隊、FUJIWARA、バッファロー吾郎と一緒にやってたんですよ。
やっぱりそこでもフリートークじゃ敵わないと思ったから、「関西とは違う、東京の感じを出さないと」っていうのはありました。ただ、ネタは大阪でも意外とウケてたし、僕個人もドラマに出始めてる頃だったから、そこまで張り合う感じでもなかったですね。
――“東京のお笑い”という意味で言うと、テンションは「方言ラップ」のネタを披露するのも早かったと思います。
田口:替え歌とかではなく、リズムが聞こえるような音ネタ。それでいて、「この言葉のチョイスだと面白いよね」って流れで作ってたから、奇しくも『ボキャブラ天国』シリーズ(フジテレビ系)を先取りするようなネタではありました。
『ボキャブラ』からもオファーがきてたんですけど、何となく「それはやめようぜ」って感じだったんですよね。そしたら、人気が爆発していったから「やっときゃ良かったね」っていう(笑)。
僕らと同じように断ったさまぁ~ずも、『大石恵三』(フジテレビ系)が終わってもう1回売れるまでにちょっと時間が掛かってるじゃないですか。だけど、うまい具合に“東京のダラダラした感じの芸風”とか、三村(マサカズ)の「〇〇かよ!」ってツッコミがハマっていきましたよね。
【テンションライブ VOL.7 ワルアガキ】
■東京公演
会場:赤坂REDTEATER
日時:1/17(金)17:30開場/18:00開演
1/18(土)13:30開場/14:00開演 17:30開場/18:00開演
1/19(月)13:30開場/14:00開演
■福岡公演
会場:ぽんプラザホール
日時:2/13(木)17:30開場/18:00開演
2/14(金)17:30開場/18:00開演
2/15(土)11:30開場/12:00開演 15:30開場/16:00開演
※チケットは
チケットぴあにて販売中。