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NHK大河ドラマで期待高まる30歳俳優。「超有名歌手の父」ゆずりの“琥珀色の瞳”の演技で魅せる

 横浜流星主演の大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』(NHK総合)を見ていて思うことがある。宮沢氷魚の演技が最大限引き出される瞬間はいつなのだろうかと。  彼の演技最大の魅力は、目そのものが演技化することであり、その瞳の美しい色にある。それは父ゆずりの固有の色合いなのである。  宮沢氷魚の瞳が大河ドラマで色づく瞬間が早く見たい。男性俳優の演技を独自視点で分析するコラムニスト・加賀谷健が解説する。

目そのものが演技化

『べらぼう』© NHK

『べらぼう』© NHK

 俳優の演技をほめるとき、よく目の演技に着目することがある。この間、舘ひろしが往年の名作映画を紹介する番組『シネマラウンジ』(BS10)で、アラン・ドロン主演の『太陽がいっぱい』(1960年)が取り上げられていて、超クロースアップで写るドロンの目の演技をフィーチャーしていた。  この目があれば、世界をとれるという意味合いのコメントを舘がしていたが、それは目の演技というより、目そのものが演技化しているのではないかと筆者は思った。  それで思い出したのが、宮沢氷魚のことである。宮沢氷魚こそは、その琥珀色の瞳をたたえた目がイコール演技に自然と結びついてしまうような、稀有な才能の俳優だからである。

琥珀色に輝く父ゆずりの瞳の色

 その才能はひとまず持って生まれたものであることを確認しておかなければならない。宮沢氷魚の父は、元「THE BOOM」のボーカル、宮沢和史である。宮沢和史もまた琥珀色に輝く瞳の持ち主なのである。  これは単純な事実として、宮沢氷魚の美しい瞳の色は、父ゆずり、父からのプレゼントだといえる。プレゼントは英単語として贈り物の他に、現在を意味する。  つまり、贈り物である瞳の色を俳優として取り込む(演技化)。その上で贈り物を才能に磨きあげる。それが今現在、あれだけの輝きを放つ瞳の演技になっているのである。だから宮沢氷魚は決して目の演技をしているわけではない。そこからさらに踏み込んだ目そのものの演技なのだ。
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いい加減の光が条件
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