2010年半ばのメンズノンノを牽引→俳優業でさらに色気を増した31歳俳優「モデル時代はアンニュイと形容されたが…」
映画、ドラマ問わず出演作が多い成田凌の魅力とは実際のところ、どこにあるのだろうか?
もともとはモデル出身。アンニュイという形容でその魅力が説明されていた時期もあった。俳優デビューしてからはどうなのか。それを今一度考えてみる必要がある。
男性俳優の演技を独自視点で分析するコラムニスト・加賀谷健が、初主演映画などの過去作を振り返りながら、方向性を見定めるアンテナを持つ成田凌を解説する。
坂口健太郎とともに専属モデルとして、2010年代半ば頃の『MEN’S NON-NO』を牽引した成田凌は、「イケメン」を象徴する存在だった。ただしそれは、単なる時勢の言葉としてのイケメンではなく、現象としてのイケメンを定義してしまうくらい象徴的な存在感である。
2013年から同誌専属になった成田のモデル時代には、よくアンニュイという形容詞が使われていた。フレキシブルなイケメンの表層的魅力を備えていながら、アンニュイが意味する気だるい雰囲気からズシンとくるものを感じさせる。
そのため、彼が醸すアンニュイは、モデルが写るスチールやスナップの静止画にはおさまりきらないものだった。実際、成田はもともと俳優志望である。彼のアンニュイがおそらく意味している存在の色気みたいなものが、本能的に求めていた世界は、映画やドラマなどの動く画だったのだと思う。
存在の色気が求めていた世界
映画に身を捧げる俳優
専属モデルを卒業した2021年までの出演作の多さを確認してみただけでも、成田がいかに動く画の世界から必要とされる人材であり、なおかつ愛される存在であるかがわかる。 もちろんアンニュイな静止画の中の成田も飛びきり魅力的だった。でも動画の中の成田はもっと魅力的である。どの作品でも水を得た魚のように、画面上を自由に楽しげに走り回っている。 井浦新と共演した映画『ニワトリ★スター』(2018年)では、冒頭からあられもない肉体をさらけ出している。セクシャルな場面以外でも、ほとんど裸同然の格好でソファに寝そべり、足をバタバタさせる成田の奔放さが躍動した。同作の成田から感じたのは、自分は映画に身を捧げる俳優になるという覚悟と気概である。
1
2
この連載の前回記事