38歳で地元・札幌に戻った元キー局アナの私が「テレビ局員で居続けたらなかなか見えなかった」と思うこと
2010年にTBSに入社し、『朝ズバッ!』『報道特集』などを担当したのち、2016年に退社したアンヌ遙香さん(39歳・以前は小林悠として活動)。
TBS退社から8年経った今年、紆余曲折を経て20年生活した東京を後にして活動拠点を故郷北海道に戻したアンヌさん。アラフォーにして再スタートを切った「出戻り先」でのシングルライフの様子や心境をつづる連載です。
【過去記事】⇒連載「アンヌ遙香の北海道シングルライフ」を読む
第26回となる本記事では、女同士の友情について考えます(以下、アンヌさんの寄稿)。
春は門出の時期、変化の時期。テレビ局やラジオ局は改編の時期。皆さんはどんな春になりそうですか。
私が故郷札幌に拠点を戻したのは2024年春のこと。振り返れば怒涛の一年でした。
札幌に愛犬と共に帰ってきたときは、まずは自分と大型犬リリーの生活空間を確保すべく実家の片付けから着手し、心身のコンディションを整えることが先決でした。
まだまだ自分の未来が見通せない、まさしく五里霧中の状況。今所属している札幌のモデル、タレント事務所に入らせていただいたのが6月。
TBS時代の私のことを覚えていてくれていて、絶対、できることがたくさんあるはずです!! と、一から私のマネジメントを引き受けてくれたのが、モデル事務所MODEAの責任者A女史です。A女史とは、初対面のときからウマがあうといいますか、初めて顔をあわせた瞬間から、ここで一緒に頑張らせていただこう、と決意させる、清潔さや芯の強さがありました。
事務所運営そのものが女性中心だったというところにも非常に惹かれ、すぐにお世話になることを決めさせていただきましたが、文字通り東奔西走してもらえたことで今日の私があります。
TBSを退社して8年ほど、SNSもほとんどやっておらずにブランクしかなかった私でしたが、HBC(北海道放送)さんでの情報番組『今日ドキッ!』コメンテーターをスタート地点に、ありがたいことにフリーアナウンサーとしてのお仕事にお声がかかるようになりました。
はっきり言って、20代の頃の私よりもアラフォーの今の私の方が数千倍良い仕事ができていると感じています。私にとって個人的に非常に良かったと感じているのは、TBSを退社した後、さまざまな世の中を拝見することができたこと。
海外で生活していた時期もありましたが、それよりも、たとえば、世の中の主婦の皆が日々どういう生活を送っているのか、何を感じて生きているのか、など生々しい現実の数々を目にすること、耳にすることができたという事実が、私の血となり肉となりました。
何気なく公園で犬の散歩をさせているご近所さん、いつも笑顔を絶やさないご婦人も、周りからは見えない苦しみや壮絶な悩みを抱えていることもあるということ。「生活」とは、実はドラマチックかつ深刻なものであるということ。
あのままテレビ局員で居続けたらなかなか見えなかった「世の中」というのを知り、学ぶことができ、幅広い視点を自分の中に構築することができたと感じています。
札幌に拠点を戻してからの“怒涛の一年”
海外生活よりも学びになったこと

1
2