保育園で5歳の娘がパンツを下ろされ…深刻化する「子ども同士の性暴力」の実態
加害側・被害側、どちらの子どもにも適切な支援を
保育現場での性暴力に対する社会的認識はまだ十分とはいえませんが、このようなケースは決して珍しくありません。児童養護施設など、親と暮らせない多数の子どもたちが共同で生活する場所での子ども間の性暴力は、施設の職員にとっても大きな課題となっています。
子ども同士の間で起こる性暴力件数を示す全国的な統計はありません。同じ小学校に通う児童が被害者になったことが表面化するケースも相次いでいて、2024年5月には神奈川県の小学校で、2年生の女子が上級生の男子から下半身を触られる事案が発生しています。北海道の小学校でも2025年1月、6年生の女子が同級生に下着を盗まれるなどの被害を受けています。
この問題への対応において重要なのは、加害側・被害側双方の子どもたちへの適切な支援介入です。すでに述べたように、警察が介入するような刑事事件とはならないケースがほとんどだからこそ、弁護士や児童相談所など専門家を交えた丁寧な対応が必要となるのです。
*1 警察庁「令和5年中における少年の補導及び保護の概況」
<文/斉藤章佳>斉藤章佳
精神保健福祉士・社会福祉士。西川口榎本クリニック副院長。1979年生まれ。大学卒業後、アジア最大規模といわれる依存症回復施設の榎本クリニックで、ソーシャルワーカーとしてアルコール依存症をはじめギャンブル、薬物、性犯罪、児童虐待、DV、クレプトマニア(窃盗症)などあらゆる依存症問題に携わる。専門は加害者臨床で、現在までに3000人以上の性犯罪者の治療に関わる。著書に『男が痴漢になる理由』『万引き依存症』『盗撮をやめられない男たち』など多数
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