NHK『あんぱん』“スター歌手“の演技力に注目。しゃべり倒しても嫌な感じがしないワケ
エキストラにしては存在の主張が激しい
朝ドラ初出演でスター歌手のケレンミがあふれる
大森が演じるのは、音楽や演劇など、とにかく芸術を熱く愛する青年作曲家・いせたくや。嵩と大根の会話に割り込んで、芸術愛をぺちゃくちゃとしゃべり倒す。嫌な感じが全然しないのは、大森がこの不思議と人懐こい闖入者キャラを好感度たっぷりに演じているからだ。
彼がしゃべるだけで楽しげな雰囲気がある。明るいキャラクター性は例えば、第65回日本レコード大賞を受賞した「ケセラセラ」などミセスの代表曲が体現する幸せ色が源泉になっているのかもしれない。
実際、大森が演じるいせたくや役は作曲家という設定だけではなく、実際の画面上でも音楽的なキャラクター性を発揮する。朝ドラ初出演であるからには、主戦場とするミュージカルなスキルを披露しない手はない。
『あんぱん』公式Instagram上にアップライトピアノ前の大森が演奏するオフショットが投稿(8月5日)されるや、大森ファンのコメントでわいた。
「本当に演奏してたんだ」といったコメントがあるように、第92回でのど自慢に出場しようとするのぶの妹・メイコ(原菜乃華)の練習にいせたくやが付き合う場面がある。メイコが歌うのは戦後の代表曲「東京ブギウギ」。たくやが幸せ色で伴奏する。
第94回でカウンター席で嵩と並んで座る場面では「音楽でたくさんの人を幸せにしたい」とたくやは言う。陽気で洗練され、脱力した大森元貴というスター歌手のケレンミがあふれる演技を見て、「ケセラセラ」(スペイン語で「なるようになるさ」を意味)と思わず明るく口ずさみたくなった。
<文/加賀谷健> 1
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