セクシー写真がバズったウララのもとには、DMでプレゼントが届いたり、誘いの声がかかるようになります。
元彼の「身体だけは最高だよな」の言葉がひっかかって躊躇していたナナコ。ですが、裏アカ界隈の有名人「スズヤ」からの誘いは断れませんでした。スズヤに興味を持たれた自分が、誇らしかったのです。
やがてウララも、裏アカの世界で有名人になっていきます。顔出しをしてオフ会に参加すれば、方々から注目され、称賛される日々。
でも、注目されれば、負の有名税はつきものです。ねたみ、そねみ、誹謗中傷など悪意に満ちた投稿が拡散されていきました。やがてウララは見世物状態になり、身動きができなくなってしまうのです。
ナナコであって、ナナコではない。でも、自分が作り上げたウララはキラキラと輝き、ナナコを生き返らせたのも事実。しかし、架空のウララを生きるには無理があります。また、有名人のスズヤにも、衝撃的な秘密や悪癖があることが発覚しました。
憔悴しきったナナコが選んだのは、“普通”に戻る道でした。
ところが、ネット上に拡散された情報はもう回収できません。普通の幸せをつかみかけた矢先に、またもや裏アカが発端で、地獄に突き落とされてしまうのです。ナナコ本人すら自覚していないところで……。
ほんの出来心によって、天国にも地獄にも連れて行かれてしまう。SNSの恐怖と、承認欲求の罠をリアルに描いている本書。人間の本性とは? 本当に信じられる人とは?
自分の日常を、振り返えらずにはいられなくなります。
<文/森美樹>
森美樹
小説家、タロット占い師。第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『
主婦病』(新潮社)、『私の裸』、『
母親病』(新潮社)、『
神様たち』(光文社)、『わたしのいけない世界』(祥伝社)を上梓。東京タワーにてタロット占い鑑定を行っている。
X:@morimikixxx